イギリスが移住先として人気の理由
イギリスは、多様な文化と高水準な教育・医療制度を兼ね備えた魅力的な移住先として、長年にわたり世界中から多くの人々を惹きつけてきました。ロンドンをはじめとする都市部では国際的なキャリア機会が豊富で、地方に行けば歴史ある街並みと自然の豊かさが共存する落ち着いた暮らしが可能です。生活費はやや高めではあるものの、英語圏での生活を希望する方には選ばれる価値のある国です。
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
首都 | ロンドン |
通貨 | 英ポンド (£) |
人口 | 約6,700万人 |
公用語 | 英語 |
主要都市(人口) | ロンドン(890万人)、バーミンガム(110万人)、マンチェスター(55万人) |
代表的な大学 | オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン |
生活の質評価 | 7.0 / 10 |
治安指数 | 40 / 100(比較的安全) |
イギリスの興味深い事実
- ロンドン地下鉄は世界最古の地下鉄(1863年開業)
- イギリスには世界有数の博物館・美術館が多く、無料で入れる施設も多数
- イギリスはノーベル賞受賞者を多数輩出した学術大国
- 医療制度「NHS(国民保健サービス)」は原則無料で利用可能
- 多文化社会が進んでおり、ロンドンでは人口の3人に1人が外国にルーツを持つ
ビザ・移住手続き
イギリスには、就労・学業・長期滞在などの目的に応じたビザ制度が整備されています。EU離脱後は、EU/EEA圏の市民もビザが必要となり、すべての外国人に対して明確な滞在資格が求められるようになりました。長期滞在や移住を希望する場合は、日本国内の英国ビザ申請センターを通じて事前に申請を行う必要があります。
主なビザの種類
- Skilled Worker Visa(技能労働ビザ)
特定の職業リストに該当し、スポンサー企業がある場合に取得可能 - Global Talent Visa(グローバル人材ビザ)
研究・芸術・デジタル分野などで国際的に活躍する人材向け - Start-up Visa / Innovator Founder Visa
イギリスで革新的なビジネスを始める起業家向け - Student Visa(学生ビザ)
大学やカレッジなどで学ぶ留学生向け - Youth Mobility Scheme(YMS・ワーキングホリデー)
18〜30歳の日本人が対象、最長2年間の滞在が可能 - Family Visa(家族ビザ)
英国在住の家族との同居を目的とする場合
詳細はイギリス内務省(Home Office)の公式ビザ情報ページをご確認ください。
UK Visas and Immigration 公式サイト
仕事・給与水準
イギリスは世界有数の経済規模を持ち、特にロンドンを中心に多国籍企業やスタートアップが集まる国際的な就業環境が整っています。就労ビザの取得要件は明確で、ビザスポンサーとして認定された企業で働くことが基本です。近年はIT・金融・ヘルスケア・エンジニア分野などで外国人の需要が増加しています。
求人が多い主要業種
- IT・デジタル分野(ソフトウェア開発、データ分析など)
- ヘルスケア(NHSでの医療従事者)
- 建設・エンジニアリング(インフラ、電気、環境分野)
- 教育(特にSTEM分野や言語教育)
高需要な職種例
- ソフトウェアエンジニア
- データサイエンティスト
- 看護師・医師
- 電気エンジニア
- 教師(数学・物理・英語)
イギリスの一般的な労働条件
項目 | 内容 |
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所定労働時間 | 週37.5〜40時間(業種により異なる) |
試用期間 | 一般的に3〜6ヶ月 |
年間有給休暇 | 最低28日(祝日含む) |
祝日 | 年間8日(イングランドの場合、地域差あり) |
主な福利厚生 | NHSによる医療、年金制度、病休・育休制度あり |
イギリスはワークライフバランスを重視する文化があり、在宅勤務制度も比較的浸透しています。正社員には法定最低限以上の福利厚生が提供されるケースも多く見られます。
イギリスの仕事・給与水準
イギリスでは職種や地域によって給与水準に大きな差があります。ロンドンは物価が高いものの、給与も全体的に高めに設定されています。一方、地方では生活費が抑えられる反面、求人の数や給与水準がやや低めになる傾向があります。
主な就職先(国際企業)
- 金融・コンサル:HSBC, Barclays, PwC, EY
- テック系:Google, Meta, Amazon UK, Revolut
- ヘルスケア・公的機関:NHS, Public Health England
- スタートアップ・IT:Monzo, Deliveroo, TransferWise
給与水準(参考)
項目 | 金額(目安) |
---|---|
平均年収(全体) | 約£33,000(2023年) |
最低賃金(25歳以上) | £11.44/時(2024年4月〜) |
代表的な高収入職種(年収目安)
- ソフトウェアエンジニア:£50,000〜£75,000
- データアナリスト:£40,000〜£60,000
- 看護師(NHS):£28,000〜£40,000
- 会計士・税理士:£45,000〜£70,000
- プロダクトマネージャー:£55,000〜£85,000
地域別給与の目安
地域 | 平均年収 |
---|---|
ロンドン | 約£45,000 |
マンチェスター | 約£34,000 |
スコットランド(エディンバラなど) | 約£32,000 |
イギリスの求人検索・現地就職活動には、LinkedIn, Indeed, Reed, Glassdoor UKなどのサイトが役立ちます。
住居
住居タイプと短期・長期の選択肢
イギリスの住居には、「フラット(集合住宅)」「ハウス(戸建て)」「シェアハウス(ルームシェア)」などさまざまなタイプがあります。短期滞在にはAirbnbやホテル、コリビングスペースなどが活用され、長期滞在には賃貸契約によるフラットやハウスの利用が一般的です。
ビザ申請時には、滞在先を証明する書類(賃貸契約書や滞在予約証明など)の提出が求められるケースが多く、契約時には内容の確認が重要です。
家賃相場と都市ごとの傾向
イギリスは都市によって家賃の差が大きく、特にロンドンは国内でもっとも高額です。
都市 | 家賃の目安(1LDK〜3LDK・月額) |
---|---|
ロンドン中心部 | £1,800〜£3,500 |
ロンドン郊外 | £1,200〜£2,000 |
マンチェスター | £900〜£1,500 |
バーミンガム | £850〜£1,400 |
エディンバラ | £1,000〜£1,800 |
家具付き(furnished)かどうか、築年数、最寄駅からの距離などによって家賃は大きく変動します。
賃貸物件の探し方と契約時の注意点
物件探しには以下のようなオンラインポータルが役立ちます:
- Rightmove(https://www.rightmove.co.uk/)
- Zoopla(https://www.zoopla.co.uk/)
- OpenRent(直接大家と契約できるサービス)
- SpareRoom(ルームシェア向け)
契約時の主な注意点
- 契約書は英語。内容に不明点があれば翻訳アシストを活用
- 初期費用として1ヶ月分のデポジット(保証金)+初月家賃
- 「Tenancy Agreement」の確認(期間、更新条件、修繕責任など)
- パスポート、ビザ証明、収入証明(または家賃支払い能力証明)が必要
- 「Right to Rent」チェック(滞在資格確認)が法的に義務化
トラブル防止のためにも、契約前に物件を実際に見学(またはビデオ通話等)し、詐欺対策を意識することが重要です。
税金・銀行口座・海外送金
イギリスの税制度(基本情報)
イギリスの税制は累進課税が基本で、個人の所得額に応じて税率が段階的に上がります。イギリス国内で183日以上滞在すると税務上の居住者(UK tax resident)とみなされる可能性があります。
主な税金の種類
税目 | 内容 |
---|---|
所得税(Income Tax) | 累進制:年収£12,570までは免税、それ以上は20%〜45% |
国民保険(National Insurance) | 医療・年金制度の財源(就労者が拠出) |
付加価値税(VAT) | 消費税に相当、標準税率20% |
固定資産税(Council Tax) | 地方自治体による住民サービス税、住居の評価額によって異なる |
キャピタルゲイン税 | 株・不動産売却益に課税(年額免除枠あり) |
年収や滞在日数に応じて、税務署(HMRC)への申告が必要になる場合があります。
銀行口座の開設
イギリスでは、家賃の支払い、給与受け取り、クレジットヒストリーの構築などのために、現地の銀行口座開設は事実上必須です。
銀行口座開設に必要な書類(一般的な例)
- パスポート(またはBRPカード)
- 現地住所を証明する書類(賃貸契約書、公共料金請求書など)
- ビザの証明(就労・学生・家族など)
主要銀行と特徴
銀行名 | 特徴 |
---|---|
HSBC | 海外在住者対応が充実、グローバル口座にも対応 |
Barclays | イギリス全土で支店多数、オンラインバンキングが充実 |
Lloyds Bank | 初心者向けサービスに定評あり |
Monzo / Starling Bank | スマホで開設可能なデジタルバンク。外国人にも人気 |
オンラインバンクは、住所証明が比較的緩やかで、スマホだけで数日以内に開設できることもあります。
海外送金の方法と手数料
イギリスから日本への送金は、銀行経由に加えてオンライン送金サービスの利用が広まっています。為替手数料・送金スピード・受取方法を基準に比較検討するのがおすすめです。
よく使われる送金手段
サービス | 特徴 |
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Wise(旧TransferWise) | 実レートに近い為替で送金。安くて速い |
Revolut | 口座機能付きで少額送金なら無料枠あり |
Western Union | 現金受け取り可。緊急時に便利だが手数料は高め |
銀行送金(SWIFT) | 安全だが手数料・着金日数ともにネックあり |
送金時の注意点
- £10,000以上の送金は銀行・税務当局から確認が入る可能性あり
- 送金目的(学費、家族支援など)を明示する必要がある場合も
- 日本側で受取にあたって課税される場合もあるため事前に確認を
WiseやRevolutは、日本円口座とポンド口座を持てるため、為替タイミングを見ながら管理しやすく、移住者に人気です。
医療制度と健康保険
イギリスの医療制度は、NHS(National Health Service/国民保健サービス)と呼ばれる公的医療制度によって支えられています。永住者・長期滞在者は原則無料で医療サービスを受けることが可能で、世界でも評価の高いユニバーサルヘルスケアの一つとされています。
医療オプション
- 公的医療(NHS)
英国市民・長期滞在ビザ保持者は、ビザ申請時に「IHS(Immigration Health Surcharge)」を支払うことでNHSを無料で利用可能
→ 一般診療(GP)、入院、救急、出産など大半の医療行為がカバー対象
→ 一部、処方薬や眼科・歯科には自己負担あり(例:処方薬 £9.90/1件) - 民間医療保険(Private Health Insurance)
NHSの待ち時間短縮や専門医への迅速なアクセスを目的に利用されることが多い
BUPA、AXA PPP、Avivaなどが代表的な保険会社
民間医療保険の費用(目安)
年齢層 | 月額保険料(参考) |
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20〜30代 | £40〜£80 |
40〜50代 | £70〜£120 |
家族向けプラン | £100〜£200以上 |
NHSの基本的なサービスに満足できる場合は民間保険は必須ではありませんが、「すぐに診てもらいたい」「日本語通訳サービス付きの病院を使いたい」などの場合は加入を検討してもよいでしょう。
[イギリスの医療制度についてもっと詳しく知る]
現地の生活・生活費
イギリスの生活費は、ロンドンを含む都市部では非常に高額になる一方で、地方都市では比較的抑えられた水準で生活することも可能です。2024年の生活費ランキングでは世界121カ国中28位となっており、フランス・ドイツと同等水準、スペインやポルトガルより高めの傾向です。
イギリスの生活費(目安)
項目 | 費用(目安) |
---|---|
ロンドン中心部の1LDK賃貸 | £1,900/月 |
地方都市(マンチェスター等)の1LDK | £1,000〜£1,400/月 |
食費・交通費・光熱費を除く生活費(1人) | 約£850〜1,000/月 |
イギリスは光熱費や外食費が高く、特に冬場の暖房費(ガス・電気代)は予算に入れておく必要があります。
最も物価の高い都市(家賃・生活費が高い順)
- ロンドン
- オックスフォード
- ケンブリッジ
- ブライトン
最も物価の安い都市(比較的コストを抑えられる)
- シェフィールド
- ニューカッスル
- ノッティンガム
- リバプール
ロンドン圏以外では、生活費を£1,500〜2,000/月以内に抑えることも可能です。家賃や日常費用を賢く選べば、留学や長期滞在も現実的に。
補足:移住者向けTips
- ビザ申請時にはNHS利用料(IHS)の支払いが必要(年額£1,035/大人1人・2024年時点)
- 子どもはIHSが割引または無料になる場合あり
- 留学生は学生向けのIHS(£776/年)が適用される
まとめ
イギリスは、高度な教育・医療制度と多様な働き方の選択肢を兼ね備えた先進国として、長年にわたり多くの移住希望者から注目されています。特に、Skilled Worker VisaやGlobal Talent Visaなど、専門スキルを持つ外国人に開かれた制度が整っている点が魅力です。
ロンドンやマンチェスターなどの都市圏では、IT・金融・医療・教育分野を中心に国際人材のニーズが高く、英語でのキャリア形成が可能です。NHSによる公的医療制度が利用できる点や、教育水準の高さから、単身者だけでなく家族での移住にも適しています。
一方で、生活費や家賃は西ヨーロッパでも高水準にあるため、地域選びや予算計画が移住生活の満足度を左右する重要なポイントとなります。
イギリス移住が向いている人の特徴
- 英語環境でキャリアを築きたいと考えている人
- 教育・医療の水準を重視し、家族での移住を検討している人
- 多様な文化と都市機能を享受したい人
- 起業・スタートアップ・研究職など、専門性を活かしたい人
移住前に準備しておきたいこと
- 目的に合ったビザの選定と必要書類の確認
- 住居の下見・賃貸契約条件の理解
- 銀行口座・海外送金・保険加入の段取り
- 生活コストの試算と予算計画
イギリスへの移住をスムーズに進めるためには、事前の情報収集と制度理解が不可欠です。当サイトでは、ビザ制度・住居探し・仕事・医療など、各テーマごとに詳細ガイドを掲載しています。自分に合った移住スタイルを見つけ、安心して新生活を始めるために、ぜひ各記事もあわせてご活用ください。
