スペインの投資家ビザ(ゴールデンビザ)完全ガイド【2025年版】

スペインのゴールデンビザに使うアイキャッチ画像

スペインの不動産や金融資産に一定額以上を投資することで、居住ビザを取得できる制度が「投資家ビザ(ゴールデンビザ)」です。
この記事では、投資の種類・条件・家族帯同・必要書類・申請方法・費用まで、初心者にもわかりやすく解説します。

スペインの投資家ビザは、2025年4月3日に廃止になりました。詳細はこちらから

目次

ゴールデンビザとは?

投資によってスペインの居住権を得られる、非EU国籍者向けの制度です。

  • 不動産、国債、企業出資など複数の投資手段が選べる
  • 滞在義務が少なく、実際に住まなくてもビザ維持が可能
  • 家族帯同もOK、永住権・市民権へのステップにも

ゴールデンビザで認められる投資内容

スペインのゴールデンビザは、一定額以上の投資を行うことで滞在許可が得られる制度です。
以下のいずれかの投資を行えば、申請資格を得ることができます。

投資の種類と最低金額

投資内容最低投資額解説
スペイン国債への投資€2,000,000スペイン政府発行の公的債券への投資。安全性の高い選択肢。
株式・出資(スペイン企業)€1,000,000スペインの現地企業の株式・出資持分への直接投資。
投資ファンド(VCなど)€1,000,000スペイン国内に設立された投資信託・ベンチャーファンドへの出資。
銀行預金€1,000,000スペイン国内の銀行に資金を預け入れる方法。
不動産の購入€500,000債務なし(ローンなし)の完全所有権付き物件に限る。
公益性のある事業プロジェクト要審査(定額なし)雇用創出・地域貢献・技術革新など、国家にとって利益があると判断される事業。

不動産投資は最も人気のルートで、購入後すぐに賃貸収入を得たり、将来的な資産価値の上昇も見込めます。

公益性のある事業とは?

以下のいずれかの要素を含むビジネスプランであれば、定額の投資でなくてもゴールデンビザ申請が認められる可能性があります。

  • スペイン国内で雇用を生み出すこと
  • 特定の地域で経済的なインパクトをもたらすこと
  • 科学技術やイノベーションに貢献すること

この場合、スペイン経済商務局からの評価レポート(レポルテ・ファボラブル)を取得する必要があります。

申請条件(投資以外に必要な共通要件)

投資を完了しているだけでは、ゴールデンビザは取得できません。
スペイン政府は「真に信頼できる投資者かどうか」を判断するために、以下の追加条件を設けています。

無犯罪証明(過去5年間)

  • 犯罪歴がないことを証明する書類が必要です。
  • 原則として、過去5年間に犯罪歴がないことを示す:
    • 無犯罪証明書(居住国の警察・法務機関が発行)
    • 宣誓書(自己申告):スペイン語で「過去5年に重大な違反がないこと」を誓約

これらの書類はスペイン語に翻訳+公的認証(アポスティーユ等)が必要です。

健康保険の加入

  • スペイン滞在中に有効な公的または民間の健康保険に加入している必要があります。
  • カバー範囲:すべてのリスクを補償する内容が必須
  • 保険はスペイン社会保障機関に登録された保険会社のものに限られます。

滞在開始前に保険契約書+有効性の証明書を取得しておきましょう。

経済的な自立(生活資金の証明)

  • ビザ取得後、スペインで自立した生活を送れる経済力があることを証明する必要があります。
  • 要件:IPREMの400%以上の月額収入(2024年基準)
対象者必要な月額収入(目安)
主申請者€2,400/月(€600 × 4)

IPREM(Indicador Público de Renta de Efectos Múltiples)は、スペインにおける基準生活指標です。

これらの要件は「申請時点で満たしていること」が必須です。
とくに保険や無犯罪証明は、取得に時間がかかるため、早めの準備をおすすめします。

家族も一緒に申請可能!

スペインのゴールデンビザでは、主申請者に加えて家族を帯同させることが認められています。
条件を満たせば、同時にビザを取得し、家族そろってスペインでの生活を始めることが可能です。

対象となる家族メンバー

以下の家族が帯同対象となります。

  • 配偶者またはパートナー(未婚含む)
    法的に認められた結婚相手、または事実婚のパートナー(未婚でも証明書があれば可)
  • 扶養中の子ども
    18歳未満の子ども、または経済的に依存している成人子ども
  • 扶養している親・祖父母
    同居していて、申請者が扶養していることを証明できる場合

追加の収入証明が必要

帯同する家族がいる場合、申請者は自身の分に加えて家族1人ごとにIPREMの100%(月額€600)を追加で証明する必要があります。

帯同者数必要な追加収入(月額)合計(月額)例
配偶者1人€600€2,400(本人)+€600=€3,000
子ども1人€600€2,400+€600=€3,000
配偶者+子1人€1,200€2,400+€1,200=€3,600

IPREM(Indicador Público de Renta de Efectos Múltiples)とは、スペインにおける生活基準を示す金額指標です。2024年の月額は €600。

提出すべき書類(家族分)

家族帯同の申請には、以下の書類を準備する必要があります。

  • 関係証明書
    結婚証明書、出生証明書、同居・扶養証明書など
  • 扶養証明(成人子・親など)
    経済的に依存していること、未婚・同居の証明
  • 翻訳+認証
    外国語書類はすべてスペイン語に公的翻訳し、アポスティーユ等の認証が必要

書類によっては取得や認証に時間がかかるため、余裕をもって準備しましょう。

必要書類

スペインのゴールデンビザを申請するには、決められた書類を正確に準備・提出することが重要です。
申請者本人、投資内容、帯同家族の有無によって求められる書類が異なりますので、以下のリストをもとにチェックしましょう。

必要書類は3つのカテゴリに分かれる

  • 一般書類(すべての申請者に共通)
  • 投資内容に応じた追加書類
  • 帯同家族に関する書類

1. 一般書類(全申請者共通)

以下の書類は、すべての申請者が提出する必要があります。

書類名内容・注意点
国家ビザ申請書スペイン大使館・領事館の公式フォーマットを使用し、署名が必要
証明写真顔がはっきり写っているパスポートサイズのカラー写真(背景は明るく、眼鏡の反射などに注意)
有効なパスポート発行から10年以内、有効期限が滞在予定+1年以上、空白ページ2ページ以上
無犯罪証明書過去6ヶ月以内に取得+過去5年間の犯罪歴なしを宣誓する文書
居住証明領事館の管轄地域内に居住していることを示す公的書類(住民票など)
健康保険加入証明書スペイン国内で有効な医療保険の契約書(公的・民間どちらでも可、全リスクをカバーするもの)
経済的資力証明IPREMの400%以上の資金を有することを示す銀行残高証明・収入証明書など
NIE番号(外国人識別番号)申請前に必ず取得。オンライン申請が可能(未取得だと申請不可)

すべての書類は、スペイン語への公式翻訳+認証(アポスティーユまたは領事認証)が必要です。

2. 投資内容に応じた追加書類

選択した投資ルートに応じて、下記の書類を用意してください。

投資タイプ必要書類
不動産購入登記簿謄本(Registro de la Propiedad)、売買契約書、支払証明書(ローンなしの全額支払い)
国債投資Banco de Españaまたは金融機関からの購入証明書
株式・出資金融機関からの出資証明、保有証明書など
投資ファンドファンドマネージャーによる投資証明書・参加証明
銀行預金スペイン国内の金融機関からの預金証明書
事業プロジェクト経済商務局からの「レポルテ・ファボラブル(肯定的評価報告書)」

投資書類はすべて、名義が申請者本人であることが求められます。法人名義での投資の場合、出資比率・支配権を示す書類も必要になります。

3. 帯同家族がいる場合の必要書類

家族を一緒に申請する場合は、以下の書類を追加で準備します。

帯同者の種類必要な書類
配偶者またはパートナー結婚証明書または事実婚を証明する公的書類
子ども(18歳未満)出生証明書(扶養関係が明記されていること)
成人した子ども経済的に扶養されていること+未婚・同居の証明書
親・祖父母同居・扶養を示す証明書類(公的なものが望ましい)

これらの書類もすべて、スペイン語への翻訳+合法化(アポスティーユや領事認証)が必要です。

提出前にチェックすべきポイント

  • 書類は基本的にすべて6ヶ月以内に発行された最新版であること
  • 公式翻訳+認証付きでない書類は原則受理されません
  • NIE番号の取得は早めに(オンライン申請可能)
  • 書類が多岐にわたるため、事前にリスト化し、チェックシートで管理するのがおすすめです

スムーズな申請のために

スペインのゴールデンビザは高額な投資と厳格な審査が伴います。
書類の不備や翻訳ミスは、申請の遅延や却下の原因にもなるため、専門家のサポートを活用することも視野に入れましょう。

ビザの有効期間と更新

スペインのゴールデンビザは、投資を通じて長期的な滞在を可能にする制度です。
初回の滞在期間から、更新・永住権・市民権取得までの流れを以下に整理します。

初回のビザ期間:1年間

ゴールデンビザを取得すると、まず1年間の居住許可が付与されます。
この期間中に、スペイン国内での滞在を開始し、投資活動や生活基盤の整備を行うことが可能です。

フェーズ滞在期間補足
初回取得最大1年間居住・投資の準備期間。スペインでの活動開始が可能に

ビザの更新:2年ごとの延長が可能

1年目の居住許可期間が終了する前に、以下の条件を満たしていれば2年間の延長許可(更新)が可能です。

  • 投資の維持(不動産・資本などの保有を継続)
  • 申請時と同様の滞在要件・資金証明の継続

この更新は繰り返すことができ、最大5年までの合法的滞在が可能になります。

更新フェーズ追加期間条件
1回目の更新2年間投資を維持していること
2回目の更新さらに2年間同上。合計で5年に到達

永住権への道が開かれている

スペインでの合法的な継続居住が5年間に達すると、**長期居住許可(永住権)**の申請資格を得ることができます。

  • 投資の維持は継続して必要
  • 重大な法的違反がないこと
  • 経済的安定と住居の継続性が認められること

さらに条件を満たせば、将来的に**スペイン国籍の取得(市民権)**も可能です。

まとめ:スペインでの長期移住に適した制度

スペインのゴールデンビザは、単なる短期滞在ではなく、5年間の滞在 → 永住 → 市民権へと続く制度設計がなされており、欧州での長期拠点を築きたい方にとって魅力的な制度です。

ステージ内容
初回最大1年の居住許可
更新2年+2年で最長5年まで滞在可
永住5年経過後、長期居住許可の申請が可能
市民権条件を満たせばスペイン国籍も視野に

ビザ申請の流れ【3ステップ】

スペインのゴールデンビザ(投資家ビザ)の申請には、いくつかの明確なステップがあります。
準備から申請、結果の受け取りまでの流れを、順を追って解説します。

STEP
事前準備(書類と条件を揃える)
  • 申請条件を再確認
    投資金額・保険加入・無犯罪証明・資金証明など、すべての要件を満たしているかを確認します。
  • 書類の準備
    必要書類一式(原本+スペイン語訳+アポスティーユや公証などの認証)を揃えます。
    翻訳や合法化が必要な書類は、早めに手配しましょう。
  • ビザ申請書の記入
    国家ビザ申請書(Formulario Nacional)を、正確かつ漏れなく記入・署名します。
  • NIE番号の取得
    ビザ申請前に「外国人識別番号(NIE)」の取得が必須です。
    オンライン申請後、領事館で受け取ります。未取得の場合、ビザ申請が却下される可能性があります。
STEP
ビザ申請(領事館での手続き)
  • 申請予約を取得
    最寄りのスペイン大使館・領事館または外部委託センターの予約ページから、面接予約を行います。
  • 申請当日:書類提出・支払い
    原則として本人が出頭し、書類一式を提出します。どうしても出頭できない場合は、正式な委任状を持つ代理人による申請も可能です。その場で申請手数料(国籍によるが日本人は€75前後)を支払い、受付票を受け取ります。受付票には申請の追跡コードが記載されています。
STEP
審査と結果通知
  • 審査期間(10営業日以内)
    スペイン領事館が申請書類を審査します。必要に応じて、追加書類の提出や面接が求められることがあります。
  • 結果通知
    通常は10営業日以内に審査結果が通知されますが、内容確認や書類不備がある場合は延長されることもあります。不許可の場合は書面で理由が通知され、通知日から1ヶ月以内に異議申立て(再審査請求)が可能です。
  • ビザの受け取り
    許可が下りた場合、1ヶ月以内に本人または代理人がビザを受け取る必要があります。
    受け取り方法は、申請時に指定された方法(郵送または来館)で案内されます。

補足ポイント

  • 投資状況や条件を維持していれば、将来的に永住権の申請も視野に入ります。
  • ビザ発行後、スペイン入国日から有効期限がカウント開始されます。
  • 取得後の初期滞在期間は1年で、更新によって延長可能です。

申請にかかる費用

スペインのゴールデンビザを検討する際、申請にかかる費用を正確に把握しておくことは非常に重要です。
ここでは、申請料の目安から追加で発生する可能性のある費用までをわかりやすく解説します。

ビザ申請料:国籍によって異なる

ゴールデンビザの申請時には、国籍に応じた申請料が必要です。
正確な金額は申請時点でのスペイン大使館・領事館の情報を参照してください。

国籍ビザ申請料(目安)
日本約 €75
イギリス€75(2024年9月時点の例)

ビザ申請時に現金または指定の支払い方法で納付する必要があります。

追加で発生する可能性のある費用

申請料以外にも、以下のような費用が申請プロセスの中で発生する場合があります。

項目費用の目安内容・注意点
書類の翻訳・認証€50〜€200公式翻訳者によるスペイン語翻訳+アポスティーユまたは領事認証が必要
健康保険加入費€300〜€1,000/年保険会社・年齢・補償範囲により変動。すべての医療リスクをカバーすることが条件
無犯罪証明書の取得費€10〜€50居住国の警察などから取得(6ヶ月以内発行)
NIE番号の取得費€9.84(公式手数料)スペインの外国人識別番号。取得には申請と公的書類が必要

これらの費用は投資とは別に発生する「事務関連コスト」です。計画段階で予算に組み込んでおくことをおすすめします。

合計費用の目安(個人1名で申請する場合)

項目費用(目安)
ビザ申請料€75
書類翻訳・認証€150〜€300
健康保険€400〜€1,000/年
その他(NIE・証明書など)€50〜€100
合計約 €675〜€1,475

家族を帯同する場合は、人数に応じて費用が加算されます(健康保険・書類翻訳など)。

事前にコスト計算しておくのが安心

  • 翻訳や認証は国・書類の種類によって価格が異なる
  • 保険は年齢や健康状態、プラン内容によって大きく変動する場合あり
  • 専門家に相談することで、無駄な出費や再申請のリスクを回避できます
項目費用目安
ビザ申請料€80〜€120
NIE取得費用€10前後
書類翻訳・認証€200〜€500
健康保険€500〜€1,000/年
不動産購入関連コスト購入額の10〜13%(税・登記費など)

プロに任せるという選択肢

ゴールデンビザは高額な投資を伴うため、書類不備は致命的です。

  • 専門家が投資内容・家族構成・居住戦略までトータルサポート
  • 弁護士に依頼すると**€1,000〜€2,000前後**
  • 移住コンサルタントなら半額以下で方向性・書類準備のアドバイスが可能

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まとめ

  • スペインのゴールデンビザは、投資で得られるヨーロッパ居住権制度
  • 滞在義務が少なく、家族帯同・永住申請にもつながる
  • 書類準備は煩雑なので、専門家のサポートを検討するのもおすすめ

※ 本記事の内容は2025年3月時点の情報です。制度変更の可能性があるため、最新情報はスペイン大使館・領事館の公式発表をご確認ください。

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