ドイツ移住におけるお金の基本ガイド|税金・銀行口座・海外送金– ドイツ移住に向けた「お金」の基礎知識を総まとめ|税制・銀行口座・海外送金ガイド –

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ドイツへの移住を考える際、住居・ビザ・仕事などと並んで重要なのが「お金」に関する準備です。

税金の仕組みや現地銀行口座の開設、日本との送金方法を理解していないと、予期せぬコストやトラブルに繋がることもあります。

この記事では、移住者が直面しやすい「お金」に関する基礎知識を一通りご紹介し、それぞれのテーマに特化した解説記事にもリンクを用意しています。

ドイツで安心して生活を始めるためのファーストステップとして、ぜひ最後までご覧ください。

目次

ドイツの税制|居住者税・非居住者税・二重課税・確定申告の基本

ドイツの所得税は、まずその人が「居住者(unbeschränkt steuerpflichtig)」か「非居住者(beschränkt steuerpflichtig)」かによって課税方法が異なります。

居住者とみなされる条件

以下のいずれかに該当する場合、ドイツの税務上の居住者と判断されます。

  • ドイツ国内に「住居」(Wohnsitz)を有している
  • ドイツ国内に「通常の滞在地」(gewöhnlicher Aufenthalt)がある(※年間183日以上滞在が目安)

居住者とみなされた場合、全世界所得が課税対象となります。
つまり、日本の給与収入や不動産収入、副業の利益なども、ドイツで申告・課税の対象となります。

非居住者とは?

ドイツに住居も通常滞在地もなく、滞在期間も短期(原則183日未満)にとどまる場合、「非居住者」として扱われます。

非居住者の場合は、ドイツ国内で得た所得のみに課税されます。
たとえば、ドイツ国内の不動産賃貸収入や、ドイツ源泉の給与・報酬などが対象となります。非居住者に対する課税は、原則として固定税率(通常15〜30%前後、所得の種類による)で行われます。

二重課税防止条約(日本との関係)

ドイツと日本は二重課税防止条約を締結しており、同じ所得に対して日本とドイツの両方で税金が課されるのを防ぐ仕組みがあります。

たとえば、日本で源泉徴収された給与や配当をドイツで申告する場合、外国税額控除(Anrechnungsmethode)を利用することで、日本で支払った税金分を差し引くことができます。

ただし、この控除を受けるには、日本で納税した証明書(税額証明書)などの書類提出が求められます。
実際の申告にあたっては、ドイツ税法に詳しい税理士に相談しながら進めるのが安心です。

銀行口座の開設方法|ドイツでの手続きとおすすめ銀行

ドイツで賃貸契約を結んだり、給与を受け取ったり、日本からの送金を管理したりするためにも、現地の銀行口座はほぼ必須です。
一方で、外国人が口座を開設するには、通常、住民登録(Anmeldung)を完了していることが求められ、銀行によって必要書類や対応状況が異なります。

ドイツの銀行口座を開設するには

外国人が銀行口座を開設するには、以下の書類が一般的に必要とされます。

  • パスポート(またはEU居住者の場合はIDカード)
  • 住民登録証(Meldebescheinigung)
  • 就労証明書または収入証明書(雇用契約書、給与明細など)
  • ドイツ国内の住所証明(賃貸契約書など)
  • 一部の場合、滞在許可証(Aufenthaltstitel)

なお、口座開設時にドイツの納税者番号(Steueridentifikationsnummer)を求められることもありますが、必須でない銀行も存在します。

非居住者でも作れる口座はある?

ドイツ国内に住所登録がない場合、通常の銀行口座(Girokonto)の開設は難しいことが多いです。
しかし、オンライン専業銀行(例:N26、Wise)などでは、一定の条件下で非居住者にも口座開設が可能なケースがあります。

ただし、住所証明や本人確認のプロセス(ビデオ通話認証など)が必要となるため、事前に各サービスの条件をよく確認しておきましょう。

主な銀行の特徴

銀行名特徴外国人対応
Deutsche Bank大手で英語対応支店も多い。安定感あり大都市の支店で英語対応可
Commerzbankオンライン手続きがスムーズ。口座維持手数料無料条件あり英語サポートあり
Sparkasse地方密着型。支店数が多いが手続きはややアナログ寄り英語不可の支店も
N26(オンライン)ドイツ発のデジタルバンク。アプリ操作が簡単英語完全対応、オンライン完結可

口座維持手数料の目安

ドイツでは、一般的な銀行口座(Girokonto)には月額5〜10ユーロ程度の維持手数料がかかります。
ただし、若年層(通常27歳未満)や給与振込のある場合に無料となるケースもあります。銀行ごとの条件を事前に確認しておきましょう。

オンラインバンクという選択肢

対面手続きが難しい場合や、すぐに口座を開設したい場合には、オンライン銀行も非常に人気です。特に以下のサービスは移住者にも好評です。

  • N26:ドイツ発。完全オンライン対応で、口座開設がスムーズ
  • Wise(旧TransferWise):国際送金に強み。ユーロ建て口座が持てる
  • Revolut:多通貨管理・海外送金に強く、ユーロ圏での利用に便利

補足:言語の壁に備えて

ドイツの銀行でも、すべての窓口担当者が英語を話せるわけではありません。
特に地方都市ではドイツ語のみの場合も多いため、基本的な手続き用語や表現を事前にメモしておくと安心です。
また、オンラインバンクを利用する場合は、英語対応の有無も確認しておきましょう。

海外送金の方法|日本とドイツ間でのコストを抑えるには

日本の口座からドイツへ送金する場合、またはドイツから日本の口座に送金する場合、銀行手数料や為替レートの差によって大きなコストが発生することがあります。

最近では、従来の銀行経由よりもコストを抑えられるフィンテック系の送金サービスを利用する人が増えています。

代表的なサービス

Wise(旧TransferWise)

実際の為替レートに近いレートで送金でき、手数料も明確。日本からドイツへの送金にも対応しており、特に少額・中額送金でコストパフォーマンスが高いです。

Revolut

多通貨アカウントを保有できるサービスで、ユーロと円の両方で資金管理が可能。送金スピードも速く、アプリが使いやすい点も魅力です。ドイツでは一般的な決済手段としても利用されています。

N26

ドイツ発のオンラインバンクで、ユーロ圏内の取引に非常に便利です。日本の銀行口座と直接の接続はありませんが、WiseやRevolutと連携することで、スムーズな送金が可能になります。

銀行経由での送金について

ドイツの一般銀行(Deutsche Bank、Commerzbankなど)から日本の口座へ直接送金することも可能ですが、SWIFTコードの入力中継銀行手数料が発生するケースが多く、特に少額送金では割高になる傾向があります。

また、着金まで数営業日かかることも一般的です。

まとめ|最適な手段を選ぶポイント

ドイツに長期滞在・移住を予定している方は、低コストかつスピーディな送金手段を事前に把握しておくことが重要です。

  • 家賃支払い
  • 生活費の送金
  • 家族への仕送り
  • 投資資金の移動

など、目的に応じて、銀行経由・フィンテックサービスを使い分けるのがおすすめです。

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