ドイツビザ完全ガイド|種類・申請手続き・必要書類まとめ– ドイツで長期滞在・就労・留学を考える方へ。ビザの種類と申請ステップ、市民権取得までの流れを網羅的に解説 –

ドイツビザに使う画像

ドイツへの移住や長期滞在を考える際、避けて通れないのが「ビザの取得」です。本記事では、ドイツのビザ制度の概要、主なビザの種類、申請手続きの流れ、必要書類について詳しく解説します。ドイツでの滞在をスムーズに始めるために、ぜひ参考にしてください。

ドイツのビザ制度の基本

ドイツは滞在目的に応じて、さまざまなビザ制度を設けています。以下は代表的なビザのカテゴリーです。

  • 就労ビザ(Employment Visa)
  • 学生ビザ(Student Visa)
  • 起業家ビザ(Self-employment / Entrepreneur Visa)
  • 家族ビザ(Family Reunion Visa)
  • ブルーカード(EU Blue Card)
  • 永住権・市民権(Permanent Residence・Naturalization)

ドイツのビザが必要なケースとは?

ドイツに渡航する際、ビザの要否は滞在期間と活動内容によって決まります。日本を含む一部の国の国民は、観光などの目的で最大90日間までビザなしで滞在可能ですが、長期滞在や就労を伴う場合は、適切なビザが必要です。

ビザが不要なケース(短期滞在)

以下の条件を満たす場合、一般的にビザの取得は不要です。

  • 観光、出張、親族訪問、展示会参加などの目的
  • 90日以内の滞在
  • 日本を含む「ビザ免除国」からの渡航者
  • 就労・報酬を得る活動は不可(商談や会議参加などは可)

ビザが必要なケース

以下のいずれかに該当する場合、事前に該当するビザを申請・取得する必要があります。

  • 91日以上の中長期滞在
  • ドイツでの就労・雇用契約に基づく滞在
  • 起業・フリーランス活動
  • 大学・語学学校などでの長期留学
  • 家族の帯同・呼び寄せ(配偶者・子どもなど)
  • ドイツでの永住や市民権取得を目的とする滞在

主なビザの種類と特徴

ドイツには、滞在目的や活動内容に応じて多様なビザ制度があります。以下は、代表的な長期滞在向けのビザとその特徴です。

ブルーカード(EU Blue Card)

対象者:ドイツ国内で高度な職種に就く予定の高学歴外国人

  • 有効期間:最長4年間(延長可、永住権への道あり)
  • 主な条件
    • 大卒以上の学歴(またはそれに相当する専門資格)
    • 年収基準:€45,300以上(2025年一般基準)※IT分野など不足職種は€41,041程度で可
    • ドイツの企業からの雇用オファーがあること
  • 申請費用:€100〜140程度(滞在期間により異なる)

就労ビザ(Employment Visa)

対象者:特定の雇用主のもとで働くために渡航する外国人

  • 有効期間:原則として雇用契約の期間に応じて設定(更新可)
  • 主な条件
    • ドイツの雇用契約
    • 労働市場の需要に合致している職種であること(ZAVの許可が必要な場合あり)
  • 申請費用:€75(大使館申請時)

自営業・フリーランスビザ(Self-employment / Freelancer Visa)

対象者:ドイツで起業またはフリーランスとして活動する人

  • 有効期間:最長3年(事業が安定していれば延長・永住可能)
  • 主な条件
    • 経済的に実現可能な事業計画
    • ドイツ経済に利益をもたらす内容であること
    • 資金証明と事業拠点の確保
  • 対象例:ITフリーランス、デザイナー、コンサルタント、通訳など

学生ビザ(Student Visa)

対象者:ドイツの大学や語学学校へ正式に入学する学生

  • 有効期間:就学期間+最大18か月(卒業後の求職期間)
  • 主な条件
    • 入学許可証(Zulassungsbescheid)の提示
    • 十分な資金証明(例:ブロック口座で月額€934以上)
    • 医療保険加入
  • 申請費用:€75(標準)

家族再会ビザ(Family Reunion Visa)

対象者:ドイツに合法滞在中の家族と合流したい外国人

  • 有効期間:最長3年(在留資格に応じて更新可)
  • 主な条件
    • 結婚証明書や出生証明書
    • 配偶者が安定した収入と住居を確保していること
    • ドイツ語A1レベルの習得が必要なケースあり(例外あり)

求職ビザ(Job Seeker Visa)

対象者:ドイツ国内で就職先を探すことを目的とする高学歴者

  • 有効期間:最大6か月
  • 主な条件
    • 大学卒業資格(ドイツで認定されるもの)
    • 滞在中の生活費を自己負担できること
  • 注意点:就職決定後、ブルーカードや就労ビザに切り替える必要あり

補足:その他の代表的ビザ

ビザ名対象者備考
観光ビザ(Schengen Visa)短期の観光・出張・親族訪問など最大90日間の滞在、就労不可
オーペアビザ(Au Pair Visa)ホストファミリーと共に生活しつつ語学を学ぶ若者18〜26歳が対象、就労時間制限あり
ボランティアビザ欧州連帯隊や国際的ボランティア活動に参加する人一定の団体により認定が必要
研究者ビザ研究機関との契約に基づきドイツで研究を行う人滞在期間終了後、延長や永住が可能なケースあり

ドイツビザ申請に必要な書類とは?

ドイツのビザ申請では、ビザの種類や個別の条件により必要な書類が異なりますが、多くのケースで共通する基本書類があります。以下に、一般的な共通書類と、目的別の追加書類をまとめました。

一般的に必要な書類(共通書類)

  • ビザ申請フォーム
    • ドイツ大使館または外務省の公式サイトから取得し、必要事項を記入
    • オンライン予約+紙媒体の提出が一般的
  • 有効なパスポート
    • 有効期限が申請時点で少なくとも6か月以上残っていること
    • 見開き2ページ以上の空白が必要
  • 証明写真
    • サイズ:35mm × 45mm
    • 背景は白または明るい色、直近6か月以内に撮影
  • 宿泊先の証明
    • 賃貸契約書、ホテル予約、滞在先からの招待状など
  • 資金証明
    • 過去3か月分の銀行取引明細
    • 滞在期間中の生活費・家賃を十分にカバーできる残高が必要
    • 雇用証明書や収入証明も有効
  • 健康保険加入証明
    • ドイツまたはEUで有効な医療保険(公的または民間)
    • 学生ビザなどの場合、ビザ発行前に契約が必要
  • 住民登録予定証明(必要に応じて)
    • ドイツ到着後に必要な「Anmeldung(住民登録)」の予定があることを示す書類

ビザの種類別に必要な追加書類

就労ビザ(Employment Visa / ブルーカード)

  • 雇用主からの雇用契約書
  • ドイツ連邦雇用庁(ZAV)の認可(必要な場合)
  • 職種に応じた学歴証明(卒業証書、職務資格)
  • 年収証明(雇用契約書や内定通知書)

学生ビザ(Student Visa)

  • 入学許可書(Zulassungsbescheid)
  • ブロック口座(Sperrkonto)の開設証明
    ※最低 €11,208(2025年目安)の預金が必要(月額 €934換算)
  • 語学能力証明(大学課程:TestDaF、語学留学:学習計画)
  • 医療保険加入証明(学生用保険で可)

自営業・フリーランスビザ

  • 事業計画書(Business Plan)
  • 市場調査資料、収益見込み
  • 収支シミュレーションまたは顧客からの発注証明
  • 関連資格証明(職種により必要)
  • ドイツでの拠点・取引先との契約書など

家族再会ビザ(Family Reunion Visa)

  • 配偶者や親族の滞在許可証(Aufenthaltstitel)コピー
  • 結婚証明書、出生証明書など家族関係の証明
  • 滞在者の収入証明と住居スペースの証明
  • 配偶者がドイツ語A1レベルを証明する書類(必要な場合)

注意点

在日ドイツ大使館公式:https://japan.diplo.de/

全ての書類はドイツ語または英語で提出する必要があります。
 → 外国語の書類には認定翻訳者による翻訳文の添付が求められます。

原則として、原本とコピーの両方を提出します。

書類の内容・要件はドイツ大使館または外国人局の判断で随時変更されるため、最新情報は公式ページで確認してください。

ドイツビザ申請の流れ|ステップ別にわかりやすく解説

ドイツのビザ申請は、書類準備から大使館・領事館での面接、審査まで複数のステップを踏む必要があります。ここでは、日本在住者がドイツ長期滞在ビザ(就労・学生・家族再会など)を申請する際の一般的な流れと、代表的な費用、取得後の注意点をまとめました。

STEP

必要書類の準備

ビザの種類によって提出書類は異なりますが、多くのケースで以下が共通して求められます。

一般的な必要書類(共通)

  • ビザ申請フォーム(手書き or PDF入力)
  • パスポート(残存期間6か月以上、空白ページ2枚以上)
  • 証明写真(35mm×45mm、白背景、直近6か月以内)
  • 宿泊証明(賃貸契約書、招待状、ホテル予約など)
  • 経済的証明(銀行残高証明、就労証明、奨学金証明など)
  • 医療保険証明(公的または民間保険、ビザの種類により要件異なる)

ビザの種類別に必要な追加書類

ビザの種類追加書類の例
就労ビザ(Employment / Blue Card)雇用契約書、ZAV承認、学歴証明
学生ビザ(Student Visa)入学許可書、ブロック口座開設証明、語学能力証明
家族再会ビザ結婚・出生証明書、扶養者の在留許可証、収入証明
フリーランス・起業ビザ事業計画書、顧客との契約書、収支計画書

書類は原則としてドイツ語または英語で提出し、必要に応じて公的な翻訳文の添付が求められます。

STEP

大使館・領事館のオンライン予約

  • 在日ドイツ大使館・大阪領事館のビザ申請ページからオンライン予約
  • 申請枠は混雑するため数週間前からの準備が推奨
  • 予約後、面接日までにすべての書類をそろえておく必要があります
STEP

ビザ申請面接・書類提出

  • 予約日時に合わせて、大使館(東京)または領事館(大阪)での対面面接
  • 書類確認・質疑応答あり(滞在目的、資金源、計画など)
  • 書類は原本+コピーで提出。原本はその場で返却されるケースもあり
STEP

審査・パスポート返却

標準審査期間:約4〜8週間

  • ビザの種類や時期によって異なる

審査後、ビザが発給されればパスポートにシール貼付され返送

  • 郵送で返却希望の場合、レターパック等の同封が必要

ドイツビザ申請費用の目安(2025年時点)

ビザの種類申請費用(ユーロ)備考
就労・ブルーカード約€75〜€100滞在期間により異なる
学生ビザ€75大学・語学留学どちらも同額
家族再会ビザ€75子どもは減額あり
自営業・フリーランス€75〜€100書類量が多いため慎重に

料金は変更される可能性があります。最新情報は在日ドイツ大使館公式サイトをご確認ください。

ビザ取得後の注意点

  • 滞在許可証(Aufenthaltstitel)の取得
     → ドイツ入国後、現地の外国人局(Ausländerbehörde)にて正式な滞在許可証を申請
  • 住民登録(Anmeldung)
     → 入国から14日以内に住居地の市役所にて登録が必要
  • 保険・納税・契約の整備
     → 滞在許可に影響するため、保険・住所・雇用状況に変更があった場合は必ず届け出を

ドイツのビザ申請は、一見シンプルに見えても細かな規定や例外が多くあります。申請の不備を防ぐためにも、大使館サイトの最新情報を確認しながら、余裕を持った準備を行うことが重要です。

ドイツ国籍を取得する方法(市民権取得ガイド)

ドイツに長期滞在している方の中には、将来的に「ドイツ国籍(deutsche Staatsangehörigkeit)」の取得を検討する方も多いでしょう。ここでは代表的な取得ルートと要件について解説します。

1. 帰化(Einbürgerung)

最も一般的な方法は、一定期間ドイツに合法的に居住したうえでの「帰化申請」です。

主な要件(2024年法改正後)

  • 8年以上合法的にドイツに居住(例外あり
    • 統合コース(Integrationskurs)修了者は7年
    • 特に優れた統合実績がある場合は6年に短縮可
  • 安定した収入と生活基盤(社会保障に依存していない)
  • 犯罪歴がない
  • ドイツ語B1レベル以上の語学力証明
  • 市民権テスト(Einbürgerungstest)の合格
  • 元の国籍の放棄(※日本国籍を保持したままの二重国籍は原則不可)

申請手数料は€255(子どもは€51)

2. 配偶者・家族を通じた市民権取得

ドイツ国籍者と結婚している場合、条件を満たせば短縮ルートでの帰化申請が可能です。

主な要件

  • ドイツ国籍の配偶者と3年以上の婚姻関係
  • そのうち2年以上はドイツ国内に同居・居住
  • その他、帰化と同様の条件(語学力・収入・犯罪歴なし 等)を満たす必要あり

3. 血縁による市民権(出生・家系)

出生や家族関係に基づくドイツ国籍の取得も認められています。以下に該当する場合、帰化申請とは異なる枠組みが適用される可能性があります。

対象例

  • ドイツで出生し、片親がドイツ国籍または長期滞在許可を持っていた
  • ドイツ人の親を持ち、国外で出生した
  • 戦争・政治的理由で国籍を喪失した先祖を持つ人(再取得制度あり)

条件や提出書類は個別に大きく異なるため、外国人局(Ausländerbehörde)または専門家への相談が推奨されます。

まとめ|国籍取得に向けたステップとポイント

  • ドイツ国籍取得には「長期滞在」「統合度」「経済的自立」が重視される
  • 永住権取得後に申請する「帰化」が最も一般的なルート
  • 配偶者ルート・血縁ルートなど、状況に応じた選択肢がある
  • 語学力(B1)と市民権テストの事前準備が必須
  • 日本国籍との二重国籍は原則不可(例外あり)
  • 申請には時間と費用がかかるため、早めの情報収集と計画が重要

最新の法改正・必要書類については、ドイツ内務省(BMI)公式サイト または在日ドイツ大使館の情報をご確認ください。

最新情報の確認先と申請窓口について

ドイツのビザ制度に関する基本情報や申請条件は、ドイツ連邦外務省(Auswärtiges Amt)および外国人局(Ausländerbehörde)などの公的機関によって定められています。

一方、日本から実際にビザを申請する場合は、在日ドイツ大使館(東京)または在大阪ドイツ総領事館が管轄しており、ビザ申請手続きは原則としてオンライン予約を経た対面申請となります。

各ビザの最新要件、必要書類、面接予約、審査手続きなどは変更される可能性があるため、以下の公式サイトで最新情報を確認することが重要です。

確認内容公式サイトリンク
在日ドイツ大使館(ビザ情報)https://japan.diplo.de/ja-ja/service/05-VisaEinreise
ドイツ連邦外務省(ビザ総合情報・英語)https://www.auswaertiges-amt.de/en/visa-service
ドイツ内務省(移民・滞在に関する法制度)https://www.bmi.bund.de(※ドイツ語)

補足:

  • ドイツではVFSなどの外部委託機関は使用されておらず、申請は原則として大使館・領事館での対面による直接申請が必要です。
  • 渡航目的(就労、留学、起業、家族滞在など)や滞在予定期間によって、必要書類や審査条件が大きく異なるため、各リンク先で自身の状況に合った情報を事前に確認してください。
  • 最新の書類リストは大使館のPDFダウンロード形式で提供されている場合が多く、チェックリスト形式で準備が可能です。

▶︎ドイツの情報はこちらから