ポルトガルの保険・医療制度ガイド|公的・私的医療の違いと加入方法– ポルトガルの医療制度と保険加入のすべてを解説|移住者・ビザ申請者向けの実用ガイド –

ポルトガルに移住・長期滞在するうえで欠かせないのが、医療制度の仕組みや保険の加入条件の理解です。
本記事では、ポルトガルの公的医療制度と私的医療保険の違い、加入方法、費用の目安、ビザ申請に必要な医療保険について、初めての方にもわかりやすく解説します。

目次

ポルトガルの医療制度の基本

ポルトガルでは、国営の「SNS(Serviço Nacional de Saúde)」を中心とする公的医療制度と、任意加入の私的医療保険の二本柱で医療が提供されています。

制度内容
公的医療制度(SNS)ポルトガル国民および居住者に提供される医療。診察や入院費用が大幅に軽減または無料。
私的医療保険(Seguro de saúde privado)より迅速で柔軟な医療を受けたい人向け。民間の保険会社によって提供される。

公的医療制度(SNS)を利用できる人・条件は?

無料または低額で医療を受けられるのは次の人です

  • ポルトガル国籍を持つ人
  • 労働ビザ・D7ビザ・D8ビザなどで居住許可を持ち、NISS(社会保障番号)を取得している人
  • 配偶者や子供などの扶養家族(登録が必要)
  • 学生ビザで滞在している一部の留学生(制限あり)

注意点

  • SNSを利用するには「Utente番号(医療登録番号)」の取得が必要です
  • SNSに登録できるのは「居住許可(Títulos de residência)」を取得している人が基本
  • 短期滞在者・観光ビザでは公的医療は利用できません

SNSの取得方法
Utente番号の取得方法

私的医療保険(Seguro de saúde privado)とは?

多くの外国人移住者やリモートワーカーは、ビザ申請時や待機期間中に私的医療保険に加入しています。

メリット

  • 待ち時間が短い
  • 英語対応のクリニックを選べる
  • SNSに登録できるまでの保険代替として利用可能
  • ビザ要件を満たすための条件をクリアしやすい

デメリット

  • 保険料が自己負担
  • 年齢や既往歴によっては加入が制限される

ビザ申請時に必要な医療保険|D7・D8ビザなど

D7ビザ(非営利)やD8ビザ(デジタルノマド)では、渡航前に「1年間の私的医療保険契約」が必要とされます。
多くの場合、以下の条件を満たすことが求められます:

  • ポルトガル国内で有効な保険
  • カバー率100%(copagamentoなし=自己負担ゼロ)
  • 緊急・入院を含む医療サービスが含まれていること
  • 最低1年間の契約

申請時には、PDFでの保険証明書を提出できるオンライン保険サービスが便利です。例:Medal(メダル)、MGEN、Fidelidadeなど。

ポルトガルビザ申請〜滞在中の医療保険|最適な加入の流れ

時期保険の種類目的・ポイント
① ビザ申請前(日本在住)私的医療保険(Seguro de saúde privado)ビザ審査に必須。
“sem copagamento”(免責なし)・100%補償・1年契約などの条件を満たす必要あり。
Medal・MGEN・Fidelidadeなどがオンラインで契約・PDF証明書取得可。
② 渡航直後(居住許可取得前)同じ私的医療保険を継続利用申請時に契約した保険をそのまま継続。
病院の受診や緊急時にも対応でき、SNSへの切り替え準備中も安心して生活できる。
③ 就労開始またはNISS取得後公的医療制度(SNS)に登録NISS(社会保障番号)取得後、保健センターでUtente番号を取得すればSNSに加入可。
以降の診察・治療費が大幅に安くなり、医療費負担を抑えられる。
④ 滞在許可の更新・延長時SNS加入証明で更新可能SNSに加入済みであれば、新たな私的保険の契約は不要になることが多い。
費用面の負担を抑えて、長期滞在を続けられる。

この流れが「最もコスト効率が良い」理由

  • 初期:ビザ要件を満たす条件付き私的保険で入国・申請が可能
  • 中期:同じ保険を活用して現地の生活にスムーズに適応
  • 長期:SNSに切り替えることで、医療費を大幅に削減
  • 更新時:SNS加入を証明することで、追加契約の手間・コストが不要に

ワンポイントアドバイス

  • ビザ申請用の保険は「渡航予定日から1年間」で契約しておくのが理想
  • SNSに切り替えるまでは、私的保険を途中で解約せずに保持しておくと安心
  • SNSの申請は、居住登録・NISS取得・滞在許可証の発行後に行うのがスムーズ
  • 特にD7ビザ・D8ビザ・起業家ビザなどで長期滞在を予定している方に最適なステップです

ポルトガルで医療保険に加入する方法

【1】公的医療制度(SNS)にアクセスするには?

ポルトガルの公的医療制度(Serviço Nacional de Saúde = SNS)を利用するには、以下の手続きが必要です。

  1. NIF(納税者番号)とNISS(社会保障番号)の取得
    → 就労または自営業登録の際に必要。雇用主が代行する場合もありますが、自営業者(trabalhador independente)は自身で申請。
  2. 住民登録(Recenseamento / Registo na Junta de Freguesia)
    → 滞在地域の自治体(Junta de Freguesia)で登録。健康センターでの受付に必要な場合があります。
  3. 健康保険番号(Número de Utente)の取得
    → 最寄りの公立保健センター(Centro de Saúde)に、パスポート/NISS/住民登録証を持参して申請。
    これによりSNS医療サービスを低価格または無料で受けられるようになります。

【2】私的医療保険(Seguro de saúde privado)に加入するには?

ビザ申請前やSNSに登録するまでの間、私的医療保険の加入が必要です。ポルトガルの主要都市では、外国人向けの英語対応プランも充実しています。

主な保険会社(2025年時点)

会社名特徴
Medal Segurosビザ申請に対応した“免責なし・100%補償”プランがあり、外国人にも人気。英語サポートあり。
Fidelidadeポルトガル最大の保険会社。保険網が広く、幅広いプランを提供。
MGEN Portugal健康診断・予防医療に強く、サステナブルな保険設計が特徴。
AdvanceCare(プラットフォーム)複数の保険会社と提携し、ネットワーク病院でのキャッシュレス診療が可能。

ポイント:

  • ビザ申請時に求められる条件(例:免責なし(sem copagamento)・フルカバー・1年間有効)を満たすかどうかを必ず確認しましょう。
  • 保険はオンラインで申し込めるケースも多く、PDF形式の「保険加入証明書(Comprovativo de Seguro)」が即時発行される場合もあります。

医療費・保険料の目安

内容公的医療制度(SNS)私的医療保険
初診・家庭医原則無料(または€5前後)月€40〜€80前後
専門医紹介状が必要・低額自由に選択・待ち時間少
救急・入院原則無料(Utenteカード提示)プランにより補償範囲が異なる
薬代処方薬に対し一部負担(20〜90%補助)一部カバーするプランもあり

よくある質問(FAQ)

ビザ申請に医療保険は必要?

はい。D7・D8ビザなどでは「1年間の医療保険加入証明」が必須です。

英語で診察してもらえる?

リスボン・ポルト・コインブラなどの都市では、英語対応の私立病院・国際医療センターが多数あります。

SNSに登録するのにどれぐらいかかる?

登録自体は無料ですが、NIF・NISS・住民登録などの準備が必要で、1〜2ヶ月かかる場合もあります。

まとめ|ポルトガルで安心して医療を受けるために

  • 渡航前:ビザ申請に必要な「私的保険」へ加入
  • 渡航後:住民登録や社会保障番号を取得し、SNS(公的医療)へ切り替え
  • 長期滞在:公的医療+必要に応じて私的保険を併用することで、費用とサービスのバランスを確保

あなたの滞在目的とライフスタイルに合わせて、最適な医療保険プランを選びましょう。

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