ポルトガルビザ申請時の私的(民間)医療保険|加入は必須!どの保険が使える?– 中長期滞在向けビザ申請者に向けて、加入条件・選び方・注意点を徹底解説します。 –

目次

ポルトガルのビザ申請に医療保険は必要?

医療保険への事前加入は必須

ポルトガル大使館や領事館では、中長期滞在ビザ(90日超)を申請する際に、医療保険の加入証明書の提出が義務付けられています。 ​

医療保険に関する申請条件(2025年時点)

以下は、日本でポルトガルのビザを申請する際に提出が求められる医療保険の条件(2025年時点)です

要件内容
シェンゲン圏全域をカバー滞在先がどの国・都市でも医療が受けられること。特にポルトガルを含むシェンゲン加盟国全体で有効なことが求められます。
最低補償額30,000ユーロ以上緊急医療、入院、死亡時の本国送還(遺体搬送費など)を含む補償があること。
有効期間がビザ申請期間全体をカバー通常は「渡航日から1年間」など、初回のビザ発行期間(例:1年間)を完全にカバーしている必要があります。
現地(ポルトガル)またはEU圏で認可された保険会社によるものポルトガル国内で認可されている、またはEU内で正式に登録された医療保険会社の証明書が必要。旅行保険ではなく「医療保険(health insurance)」であることが原則です。

補足:ポルトガル大使館の公式案内でも「最低3万ユーロの医療保険」「シェンゲン協定国で有効」などの条件が記載されています。海外旅行保険ではなく、医療目的での長期滞在に対応した民間保険が必要です。

必要に応じて、Unilaces や Sanitas International、APRIL、AXA、Allianzなどの認可された保険会社を利用するとよいでしょう。

どのビザで必要?

ポルトガルでは、中長期ビザ(滞在90日超)を取得する際、原則として医療保険への加入が必須となります。​ビザの種類によって、必要な保険の内容(補償範囲・免責の有無・期間)は異なりますが、多くのケースで「最低補償額30,000ユーロ以上」「シェンゲン協定加盟国全域で有効」の条件が求められます。​

以下に、代表的なビザごとに医療保険の加入義務とその条件をまとめました。

ビザの種類保険加入の必要性解説
D7ビザ(退職者・受動的収入者向け)必須ポルトガル国内で有効な健康保険への加入が求められます。 
D8ビザ(デジタルノマドビザ)必須12ヶ月分の医療保険加入が必要で、ポルトガルでの怪我の補償と本国送還の補償を含む必要があります。 
学生ビザ必須滞在期間を100%カバーする民間医療保険が必要です。
ワーキングホリデービザ必須滞在期間をカバーする海外旅行保険への加入が求められます。 
就労ビザ(企業スポンサーあり)条件付き(△)雇用主が社会保険に登録すれば保険加入は免除される場合があります。申請時に確認が必要です。
短期滞在ビザ(90日未満)必須シェンゲンビザ申請時に€30,000以上の医療カバー保険が必要です。旅行保険で対応可能です。 

ビザ更新時や現地滞在中は公的医療制度で代替できる?

ポルトガルには公的医療制度(SNS:Serviço Nacional de Saúde)があり、法定居住者は地元の医療センターに登録することで、病気や事故などの基本的な健康問題に対する医療サービスを受ける権利があります。 ​

一部のケースでは、公的医療制度への加入で代替可能

例えば:

  • 長期滞在者:​ポルトガルで正式に居住登録を行い、SNSに加入している場合、ビザ更新時に追加の民間医療保険が不要となるケースがあります。​
  • 就労者:​雇用主が社会保険に登録し、SNSへの加入が完了している場合、追加の保険加入は免除されることがあります。​

ただし、ビザ申請時には事前に民間医療保険への加入が求められるため、SNSへの加入はビザ取得後の手続きとなります。​

日本から加入できるポルトガル対応の保険会社

ポルトガルのD7ビザやD8ビザ(デジタルノマドビザ)では、「免責なし(sem copagamento)」かつ「1年間有効」などの条件を満たしたポルトガル認可の私的医療保険が必要です。

以下は、日本からでも加入しやすい主要な保険会社と特徴です。(非営利ビザ)D8ビザ(デジタルノマドビザ)など、中長期滞在ビザ申請に必要な条件を満たすプランを提供しています。

保険会社特徴日本から加入
Medal Seguros(メダル)ポルトガル大手の民間保険会社。外国人向けビザ用プランあり。オンライン契約可。PDF証明書発行も対応。
Fidelidade(フィデリダーデ)ポルトガル最大の保険会社。移民向け医療保険あり。現地代理店経由だが、日本からメール等で申請可。
Victoria Seguros外国人居住者向けのフルカバープランを提供。オンライン申し込み・英語対応あり。
Allianz Portugal国際ブランドで信頼性高。英語契約も対応。日本からの申込も可。代理店を通じて手続き可能。
APRIL International(フランス系)グローバル対応の医療保険。D7ビザ用パッケージあり。オンライン・英語サポートあり。PDF証明書を発行可能。

プラン名に「D7 Visa」「Residência em Portugal」などと記載されているものを選ぶと安心です。
“sem copagamento(自己負担なし)” などの表記があるか確認しましょう。

D7やD8ビザ申請では「最低30,000ユーロ補償」「免責なし」「1年有効」「EU/ポルトガル全土カバー」の条件を満たすことが重要です。
加入前に「このプランはポルトガルビザ申請用に使用できますか?」と保険会社に明記して確認を取りましょう。

医療保険契約時によく出てくる用語【ポルトガル版】

用語意味・直訳説明関連する場面注意点
sem copagamento「自己負担なし」
(copagamento = 自己負担)
医療サービス利用時に追加料金が一切発生しないプラン。全額カバー。D7ビザ・D8ビザなどの長期滞在ビザ申請時の保険条件copagamento(自己負担あり)のプランではビザ要件を満たさないため注意
válido para visto D7 / D8「D7 / D8ビザに有効」保険プランがポルトガルの非営利・ノマドビザ申請用に適していることを明記した表現保険会社の商品説明・契約書の見出しなど記載があっても条件(sem copagamento・1年有効など)が満たされているかを確認
cobertura completa「フルカバー」入院・診療・手術・救急などが100%補償される保険内容ビザ申請要件でよく求められる補償条件歯科や眼科などが含まれていない場合もあるため補償内容を確認
sem carência「待機期間なし」
(carência = 待機期間)
契約後すぐにすべての医療サービスを利用できること渡航後すぐに医療が必要になるケースへの備え多くの保険で初期の数週間に制限があるため事前確認を推奨
plano individual「個人向けプラン」単身者や扶養家族を含まない、申請者1人に対しての保険契約D7ビザなどで単身申請する場合の基本プラン家族帯同がある場合は「plano familiar(家族向けプラン)」も検討
vigência de 12 meses「12か月の有効期間」保険の契約期間が1年間有効であることを明記した表現一時滞在ビザ(4か月)+居住許可申請の審査期間もカバービザ申請時点から1年間以上の有効性が求められるケースもあるため余裕をもたせるのが安心

補足ポイント

  • sem copagamento は、プランの補償内容を評価するうえで最も重要なキーワードです。
  • cobertura completa(フルカバー)とセットで表示されていれば、ビザ審査でも安心。
  • visto D7 / D8 向けに有効(válido para visto D7)と書かれたプランを選ぶと、条件に合致する可能性が高くなります。
  • 日本からオンラインで加入できる保険会社も、「これらの用語を公式証明書に記載してくれるか」を事前に確認するのがおすすめです。

ポルトガルビザ申請用|医療保険加入の流れ(例:Medicare / Victoria Seguros)

STEP
プランの選定

申請するビザの種類に応じたプラン(例:D7ビザ向け「Residência Não Lucrativa」プランや、D8ビザ向け「Digital Nomad」プラン)を選択します。

とくに以下の3点は必須条件です:

  • sem copagamento(自己負担なし)
  • 100%補償(Cobertura total)
  • 1年間有効(vigência mínima de 12 meses)

💡 ビザ別によく使われるプラン名の例:

  • Plano D7 / Plano Residência Não Lucrativa
  • Plano Nómada Digital
  • Plano Estudante

申込時は、「どのビザで使用する予定か」を明確に伝えるとスムーズです。

STEP
オンライン申請 または メールでの連絡

保険会社のサイトまたは正規代理店経由で申し込みを行います。以下の情報を求められる場合が多いです:

  • 氏名・パスポート番号
  • 申請するビザの種類(例:D7、D8)
  • 保険の開始希望日(通常は渡航予定日
  • 希望する契約期間(通常1年間)
  • 現住所(例:日本)
  • 連絡先(メール・電話番号)

➡ 申請後、条件を満たすプランの見積書(Orçamento / Proposta)がPDFで届きます。

STEP
支払い・契約書(保険証明書)の受領

保険内容を確認し、問題がなければクレジットカードやIBAN振込など指定された方法で支払いを行います。

支払い後、通常2〜3営業日以内に以下の書類が発行されます:

  • Apólice de Seguro(保険契約書)
  • Declaração para Pedido de Visto(ビザ申請用保険証明書)

多くの場合、ポルトガル語+英語で発行されます。スペインと同様に、日本語は不可です。

STEP
証明書をビザ申請書類に添付して提出

取得した保険証明書を、他のビザ申請書類とともにポルトガル大使館・領事館へ提出します。

審査時に重要視されるポイント:

  • sem copagamento(自己負担なし)
  • Cobertura total(フルカバー)
  • Validade mínima de 12 meses(1年間有効)

これらが明記された書面を印刷して提出することで、ビザ却下のリスクを回避できます。

注意点・失敗しやすいポイント

  • 海外旅行保険では不可
     D7やD8ビザでは、いわゆる「旅行者用保険(Travel Insurance)」は認められません。ポルトガル国内で認可された民間医療保険である必要があります。
  • 免責あり(com copagamento)のプランでは不合格になる可能性
     「sem copagamento(免責なし)」と明記された、100%カバーのプランを選びましょう。
  • 保険の開始日は「渡航予定日」に設定すること
     入国時点で保険が有効である必要があるため、ビザ申請書類に記載する「渡航予定日」から1年間で設定するのが基本です。
  • 保険証明書はポルトガル語または英語で用意
     和訳された保険書類や、日本の保険会社が発行する保険証明は原則認められません。

まとめ|ポルトガルビザ申請前に必ず医療保険を準備しておこう

ポルトガルの中長期ビザ(特にD7 / D8)を取得するには、ビザ申請時点で有効な医療保険の加入証明書を提出する必要があります。

  • 加入はビザ申請より前に完了しておくことが必須
  • 「sem copagamento(免責なし)」+「100%補償」+「1年間有効」という3点を満たすプランを選びましょう
  • オンラインで申込・PDFで証明書取得できるプランを選べばスムーズです
  • 滞在後は、状況に応じてポルトガルの公的医療制度(SNS)へ切り替えも可能です

万が一、保険条件が不足していたり、書類に不備があるとビザ却下のリスクもあるため、ビザに対応した専用プランを選ぶことが成功のカギです。

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