スペイン移住・長期滞在を考えるうえで、現地の銀行口座の開設は非常に重要です。
この記事では、開設に必要な書類・おすすめの銀行・NIEがない場合の対応策・維持手数料の比較などを詳しく解説します。
目次
スペインで銀行口座が必要な理由
スペイン滞在中に銀行口座が必要となる主な場面は以下のとおりです。
- 賃貸契約や公共料金の引き落としに必要
- ビザ更新や住所登録(Empadronamiento)で提出が求められることがある
- 海外送金や為替手数料を安く済ませたいとき
- 現地で給与受け取りや税務処理を行う場合
NIEがないと開設できない?代替手段はある?
スペインの銀行口座開設では、NIE(外国人識別番号)が求められるケースが一般的です。
しかし、一部の銀行では「非居住者口座(Non-Resident Account)」という選択肢も用意されています。
NIEが必要なケース
- 居住者向けの通常口座(Cuenta corriente)
- 長期滞在や賃貸契約を伴う場合
NIEがなくても開設可能な例
- 非居住者口座(Cuenta bancaria para no residentes)
→ パスポートと住所証明書(国外のものでもOK)で開設可能
→ ただし、手数料が高く、サービスに制限がある場合も
銀行口座開設に必要な書類
開設する銀行・口座種別によって多少異なりますが、一般的に求められる書類は以下の通りです。
書類 | 解説 |
---|---|
パスポート | 本人確認書類として必須 |
NIE(または申請中証明) | 居住者口座を開設する場合に必要 |
滞在許可証またはビザ | 長期滞在者であれば提示を求められることがある |
スペイン国内の住所証明 | 賃貸契約書やEmpadronamiento(住民登録証)など |
所得証明 | 就労口座やローン申請時に必要な場合あり(給与明細など) |
NIE取得前にどうしても口座が必要な場合は、RevolutやWiseのマルチカレンシー口座を一時的に利用するのも選択肢です。
スペイン主要銀行の比較|特徴と選び方
銀行名 | 特徴 | オススメ度 |
---|---|---|
Santander | スペイン最大手。国際送金・支店数ともに強い | ⭐⭐⭐⭐☆ |
CaixaBank | テクノロジー系に強く、アプリも使いやすい | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
Sabadell | 外国人対応に積極的。英語対応の支店もあり | ⭐⭐⭐⭐☆ |
BBVA | オンラインバンキングが非常に便利。口座管理がしやすい | ⭐⭐⭐⭐☆ |
ING España | ネット銀行型。店舗が少ないが手数料は低め | ⭐⭐⭐☆☆ |
※支店や担当者によって対応が異なるため、複数の銀行で事前に相談するのがおすすめです。
スペインの主要銀行で口座を開設する手順
STEP
銀行の選定・支店の確認
- Santander, CaixaBank, BBVA, Sabadell などから自分の生活エリア・使用目的に合う銀行を選びます。
- 英語対応のある支店(都市部中心)や、外国人向けサポートがある店舗を確認しておくと安心です。
STEP
必要書類の準備
- パスポート(有効期限内の原本)
- NIE(外国人識別番号)または申請中である証明書
- スペイン国内住所の証明(賃貸契約書など)
- ビザ・滞在許可証(長期滞在者の場合)
- 所得証明(給与明細など)※銀行によっては不要
STEP
支店で予約または直接訪問
- 大手銀行では予約不要でそのまま訪問できる場合もありますが、混雑を避けるために事前に予約を取ることを推奨します。
- スペイン語での対応が基本のため、不安があればサポート付きのサービスや翻訳アプリを準備。
STEP
口座タイプの選択と申請
- 通常の「居住者口座(Cuenta corriente)」か、「非居住者口座(Cuenta para no residentes)」かを確認。
- 手数料や最低残高、カード発行の有無など、条件をしっかり確認しましょう。
STEP
書類の提出・申請書の記入
- 銀行スタッフの指示に従い、必要な申請書に記入します。
- この時点で初回の入金(例えば10〜100ユーロ程度)を求められることがあります。
STEP
キャッシュカードの受け取りとオンラインバンキングの設定
- その場でカードが発行されることもあれば、1週間ほどで郵送されるケースもあります。
- 同時にスマホアプリやオンラインバンキング(Banca Online)の設定方法も教えてもらえます。
補足:開設時のチェックポイント
- 口座維持手数料が発生する条件(給与受け取り、引き落とし回数など)
- 引き出しや送金時の制限や手数料の有無
- 海外送金(国際送金)が可能なサービスの有無
- カード紛失時やトラブル時のサポート体制(英語可否)
口座維持手数料は?|スペインの銀行手数料事情
スペインの銀行は、日本と比べて口座維持手数料(Comisión de mantenimiento)が発生するケースが多いです。
銀行 | 維持手数料(月額目安) | 備考 |
---|---|---|
Santander | 約€15前後(条件付きで無料) | 給与振込や公共料金引き落としなどの条件を満たせば無料 |
CaixaBank | €8〜15程度 | 年齢・残高などの条件で免除あり |
BBVA | 無料〜€12程度 | オンライン口座で条件クリアすれば無料 |
Wise / Revolut | 無料 | 海外送金用。IBAN付きのユーロ口座が開設可能 |
日本からスペインの銀行口座を開設することは可能?
一般的なスペインの銀行(Santander, CaixaBankなど)では…
- 原則として「本人が現地支店に出向く必要あり」
→ 本人確認(KYC)や書類提出のため、日本からの郵送やオンライン完結では受け付けていないことがほとんどです。 - スペインの金融機関は、マネーロンダリング対策(AML)やEU規制の関係で、外国人の遠隔口座開設に慎重。
例外・代替手段
1. 非居住者口座(Cuenta para no residentes)を日本から開設する例
- 一部の銀行(例:SabadellやBBVA)では、スペインの不動産購入予定者や法人設立者向けに、日本からの口座開設に対応することもある。
- ただし、これは通常、以下の条件を満たした上で、専門の仲介業者や弁護士を通じて行う形になります
- パスポートと非居住証明書
- 不動産購入契約書や法人設立予定の証明
- 銀行が認めたスペイン現地の「法定代理人」のサポート
利用例:
- スペインの不動産エージェントや弁護士事務所が、「銀行口座開設サポート」を提供していることがある(費用目安:€300〜€1000)
2. Wise(旧TransferWise)やRevolutなどのオンラインバンクを利用
サービス名 | 特徴 |
---|---|
Wise | 日本から申請可能。ユーロ口座(IBAN付き)を保有でき、スペインでの受取や送金にも使える。 |
Revolut | 欧州圏で人気。日本在住者は使えないが、スペイン滞在後にすぐ登録できる。 |
N26(ドイツ系) | 原則スペイン国内在住者向け。ただし仮住所登録で使える場合も。 |
これらは「スペインの銀行」とは異なりますが、生活資金の管理や送金には非常に便利で、特にノマド・短期滞在者には人気があります。
まとめ:日本からスペイン口座を開設するには?
方法 | 難易度 | 解説 |
---|---|---|
銀行の非居住者口座を直接申請 | 高い | 銀行によっては可能だが、基本は弁護士・不動産仲介経由のみ。 |
不動産・法人契約を通じて代理申請 | 中〜高 | 法律事務所を通じた有料サポートが必要。 |
Wiseなどのマルチカレンシー口座 | 低い | 日本から申請可能。IBANやユーロ決済に対応しており現地でも便利。 |
まずは自分に合った口座からスタートしよう
スペインでの生活には銀行口座は欠かせないインフラのひとつです。
特に最初の数ヶ月は、手数料や開設条件の違いに戸惑うかもしれませんが、ポイントを押さえておけば難しくありません。
- NIEあり/なしで開設条件が異なる
- 非居住者口座は開けるが、制限もある
- 都市部では英語対応可能な支店もあるので安心
- まずは使いやすい銀行からスタートし、必要があれば切り替えもOK
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