スペインの住居|賃貸・購入・家賃相場・探し方– スペインで長期滞在やビザ申請を考えるなら、まず押さえたいのが現地の住まい事情。家賃相場、住居タイプ、探し方、注意点まで、これ一つで網羅 –

スペイン移住を考えるうえで避けて通れないのが「住まい探し」です。
この記事では、スペインにおける賃貸住宅の相場、物件の種類、住まいの探し方、注意点などを網羅的に解説します。長期滞在やビザ申請時に必要な住居証明にも対応しています。

目次

スペインの住居タイプと特徴

スペインの住まいは日本とは異なる文化・呼び名が多くあります。以下に代表的な住居タイプを紹介します。

種類説明特徴
ピソ(Piso)一般的な集合住宅。日本でいうマンションやアパートに相当。都市部を中心に非常に多く、家具付き物件も多い。エレベーターがない建物もあるため内見時に確認を。
アティコ(Ático)建物の最上階にある住戸で、プライベートテラス付きのことが多い。開放感があり日当たり抜群。眺望も良いが、夏は暑く、冬は寒くなる傾向も。家賃はやや高め。
カサ(Casa)一軒家タイプの住居。戸建て住宅を指し、庭付きや複数階の物件もある。地方や郊外で主に見られ、家族連れや長期滞在者に人気。セキュリティ面やメンテナンスの確認が必要。
シェア(Compartido)ルームシェアやフラットシェア。1つの住宅に複数人が住む形態。学生やワーホリ、短期滞在者に人気。月300〜600ユーロ程度で抑えられることが多い。共有スペースの清潔度・住人との相性も重要。
スタジオ(Estudio)ワンルームタイプのコンパクト物件。寝室・リビング・キッチンが一体化。一人暮らしに向いており、中心部でも比較的安価に住めるが、収納や広さには限界あり

補足情報

スペインでは、住居の広告に以下のような略語がよく使われます

  • Amueblado:家具付き
  • Sin amueblar:家具なし
  • Gastos incluidos:光熱費込み
  • Reformado:リフォーム済み

物件探しの際は、こうした用語もチェックしましょう。

短期向け住居の選択肢|ビザ待機・下見・ノマドにも便利

長期契約の前に、スペインで数週間〜数ヶ月の滞在を予定している方には、以下の短期滞在型住居が便利です。

種類説明特徴
Airbnb世界的に利用されている短期賃貸プラットフォーム。家具付き・光熱費込みで、即入居可能。言語の壁も少なく、レビューで物件の質も判断しやすい。長期割引あり。
サービスアパートメントホテルと賃貸の中間のような物件。清掃・Wi-Fi・家具が完備されている。ビジネスマンや駐在者向け。月単位で契約可能だが、家賃は高め(€1,200〜€2,500/月が目安)。
短期賃貸(Alquiler temporal)スペイン人も使う合法な中期レンタル制度3〜11ヶ月程度の契約。通常の賃貸より柔軟だが、探すのに少し手間がかかる。Idealistaなどで検索可能。
コリビング(Coliving)共用スペースを持ちながら、個室で生活するコミュニティ型住居。リモートワーカーやノマドに人気。ネット・家具完備で即生活可。住人同士の交流も◎。例:OutsiteSun and Co.

こんな人におすすめ

  • 渡航後すぐに長期物件を決めず、現地でじっくり内見したい人
  • ビザ申請中・承認待ちの仮滞在先として確保したい人
  • フリーランス・ノマドとして各都市を転々としながら生活したい人 

利用時の注意点

  • Airbnbは禁止エリアもある(特にバルセロナ中心部)。長期滞在は“monthly stays”で検索。
  • サービスアパートは、法人契約が優遇される場合あり。
  • 短期賃貸(Alquiler temporal)は、契約期間終了後の延長が難しいケースも。

スペイン主要都市の家賃相場(2025年)|1LDK〜3LDKの目安

都市ごとの家賃相場を、間取り別(1LDK・3LDK)かつ中心部/郊外で比較した一覧表です。家賃は月額・ユーロ表示です。

都市名1LDK(中心部)1LDK(郊外)3LDK(中心部)コメント
マドリード€1,000〜1,400€750〜1,000€1,800〜2,400首都であり需要が高く、中心部はやや割高。通勤圏内の郊外がコスパ◎
バルセロナ€1,000〜1,500€800〜1,100€2,000〜2,600海も街も近く、外国人に特に人気。Airbnb規制の影響で物件は不足傾向
バレンシア€700〜1,000€500〜800€1,200〜1,800海沿いで気候も良く、コスパ重視の移住者に人気上昇中
セビリア€600〜900€450〜700€1,100〜1,600物価が比較的安く、スペイン文化の濃い都市。夏は非常に暑い点に注意

家賃相場に影響する主な要素

  • エリア(中心部 vs 郊外)
  • 家具付き(Amueblado)かどうか
  • 建物の築年数・改装状況(Reformadoかどうか)
  • 光熱費・Wi-Fiなどが込みかどうか(Gastos incluidos)

ワンポイント解説

  • 1LDK=スペインでは「1 dormitorio(1ベッドルーム)」と表記されることが多い
  • 3LDK以上はファミリー向けで、ルームシェア物件としても使われやすい
  • 郊外物件は広さ・静かさに優れ、長期滞在におすすめ

ビザ申請時の注意点:住居契約書が必要

スペインでは、多くのビザ申請(例:ノマドビザ、非営利ビザなど)において、住居の確保が要件となっています。
そのため、家賃の相場を参考にするだけでなく、以下の点もあらかじめ確認しておきましょう。

  • 正式な契約書(Contrato de arrendamiento)が発行されるかどうか
  • あなた名義での契約になっているか
  • 契約期間がビザ要件を満たす長さ(通常3か月以上〜)になっているか

Airbnbなどの一時滞在施設ではビザ要件を満たさない場合もあるため、事前に移民弁護士やサポート機関へ確認することをおすすめします。

ビザ申請時の住居証明として賃貸契約が必要な場合は、家賃相場に加え、正式な契約書(Contrato de arrendamiento)が出るかどうかも確認しましょう。

スペインで賃貸物件を探す方法

スペインで賃貸物件を探すには、オンラインとオフラインの両方の手段を活用するのがポイントです。短期滞在者向けから長期契約まで、目的に合った方法を選びましょう。

オンラインで探す:スペイン全土対応の主要なポータルサイト

以下の不動産ポータルは、物件数が豊富で日本からでも閲覧・問い合わせが可能です。

サイト名特徴向いている人・用途備考
Idealista(イデアリスタ)スペイン最大級の物件数。検索条件が非常に細かく設定可能。幅広い地域・条件で探したい人家具付き/光熱費込みなどもフィルター可能。売買にも対応。
Fotocasa(フォトカーサ)地元ユーザーの利用率が高い。デザインがシンプルで操作しやすい。初心者やスペイン語に不慣れな人月額費用の目安や近隣相場が見やすい。
Habitaclia(アビタクリア)カタルーニャ地方に強く、バルセロナ周辺の情報が豊富。バルセロナ・地方都市を希望する人地方のローカル物件も掲載されている。
Badi(バディ)ルームシェア専用のマッチング型アプリ。個人間でやり取り。学生・若者・ノマドワーカー向けプロフィール登録が必要。短期〜中期滞在向け。

ポイント:スペイン語で検索した方がヒット数が多くなります。たとえば「Alquiler piso Madrid」(マドリード 賃貸)など。

現地で探す:地元ならではの情報網を活用

現地にいる場合は、ネットに出ていない物件情報を見つけるチャンスもあります。

  • 不動産仲介会社(Agencia Inmobiliaria)
    地域に特化した仲介業者に直接相談すると、未掲載の物件や最新の空室情報を紹介してもらえることも。
    → 手数料(1ヶ月分+税)がかかることが多いが、契約手続きや言語サポートが受けられる場合もあり。
  • 街中の掲示板や貼り紙(Se Alquila)
    地元のカフェ、大学、掲示板に「貸します」の紙が貼られていることも。
    → 特に小都市やローカルエリアではまだ主流の探し方。
  • Facebookグループ・WhatsAppコミュニティ
    「日本人 スペイン 賃貸」「Barcelona flatshare」など、外国人向けの非公開グループが多数存在。
    → 物件情報だけでなく、注意点や体験談も得られる。

日本語サポートのエージェントを活用する

スペインでの家探しにおいて、日本語対応や日本人サポートを提供しているエージェントを活用するのも1つの手です。特に言語に不安があったり、初めての海外生活の場合は安心感を得るためにも活用しましょう。

エージェント名拠点特徴サービス内容公式サイト
Takumi Spain(タクミ スペイン)バルセロナスペイン宅地建物取引免許を取得している日系不動産会社。日本語での物件探し、契約手続き、銀行口座開設、ビザ手続きなど、移住に関するトータルサポートを提供。https://www.takumispain.com/
Fuji Inmobiliaria(富士不動産)バルセロナ日本人や日本企業のニーズを熟知したコンサルタントが在籍。日本語での問い合わせが可能で、現地の不動産情報を提供。http://www.fujiinmobiliaria.com/
Tokyo Expat – エルシーズ株式会社東京外国人向けの賃貸仲介サービスを提供。希望条件のヒアリングから物件提案、契約手続き、鍵の引き渡しまでをサポート。https://www.lcsgroup.co.jp/tokyo_expat/

注意点

  • サービス内容や対応エリアは各エージェントによって異なります。事前に公式サイトで詳細を確認し、直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
  • 手数料や契約条件もエージェントごとに異なるため、複数のエージェントに相談し、比較検討されると良いでしょう。

物件探しのコツ

  • 写真だけで決めず、できるだけ現地内見か信頼できる仲介者経由で確認する
  • 最低限のスペイン語の用語(例:amueblado=家具付き)を知っておくと検索しやすい

スペインでの賃貸契約の流れ

STEP
物件を探す
  • オンラインポータルの活用:​IdealistaやFotocasaなどの主要な不動産サイトで条件に合った物件を検索します。​
  • 不動産仲介会社への相談:​信頼できるエージェントに依頼し、希望条件を伝えて物件を紹介してもらいます。​
STEP
内見・契約条件の確認
  • 内見の実施:​実際に物件を訪れ、設備や周辺環境を確認します。​
  • 契約条件の確認:​家賃、契約期間、敷金(Fianza)や保証金(Depósito)の額、光熱費の負担など、重要な条件を詳細に確認します。​
STEP
必要書類の提出
  • 収入証明:​給与明細や雇用契約書など、安定した収入があることを証明する書類。​
  • 身分証明書:​パスポートやNIE(外国人識別番号)などの身分証明書。​
  • 滞在許可証:​スペインでの合法的な滞在を証明する書類。
STEP
契約書の署名
  • 契約書の内容確認:​契約書は基本的にスペイン語で作成されます。内容を十分に理解するため、必要に応じて翻訳や専門家のアドバイスを受けましょう。​
  • 署名:​契約内容に同意したら、契約書に署名します。​
STEP
敷金・初期費用の支払い
  • 敷金(Fianza)の支払い:​通常、1~2ヶ月分の家賃相当額を支払います。​
  • 初期費用の支払い:​初月の家賃や仲介手数料(通常は家賃の1ヶ月分)など、契約時に必要な費用を支払います。​​

注意点とトラブル防止策

1. 言語の壁:契約書はスペイン語が基本

  • 賃貸契約書は通常スペイン語で作成されます。言語の理解不足により、契約内容を十分に把握できないリスクがあります。​
  • 対策
    • 翻訳サポートの利用:契約書の内容を正確に理解するため、専門の翻訳者や信頼できる第三者に翻訳を依頼しましょう。​
    • 専門家への相談:不明点がある場合は、弁護士や不動産の専門家に相談し、契約内容を確認してもらうことをおすすめします。​

2. 身元保証・収入証明:ビザや収入が不安定だと断られる場合あり

  • 安定した収入やビザの有無が確認できない場合、入居を断られる可能性があります。​
  • 対策
    • 必要書類の準備:給与明細、雇用契約書、銀行残高証明など、収入を証明する書類を用意しましょう。​
    • 保証人の確保:現地での保証人が求められる場合があります。難しい場合は、家賃保証会社の利用を検討しましょう。​

3. 詐欺物件:現地確認や信頼できる仲介業者の利用を

  • 実在しない物件や虚偽の情報による詐欺被害のリスクがあります。​
  • 対策
    • 現地での内見:契約前に必ず物件を直接確認し、写真や説明と一致しているか確認しましょう。​
    • 信頼できる仲介業者の利用:実績のある不動産会社やエージェントを通じて物件を探すことで、リスクを軽減できます。​
    • 前払いの回避:内見や契約前に前金を要求する場合は注意が必要です。​

4. 契約条件の確認:ペット可否・光熱費込みかなど

  • 契約内容に関する誤解や見落としが、後のトラブルにつながることがあります。​
  • 対策
    • 詳細な条件確認:ペットの飼育可否、光熱費やインターネット料金が家賃に含まれているか、修繕費の負担範囲など、契約前に細部まで確認しましょう。​
    • 書面での明記:重要な条件はすべて契約書に明記し、口頭での合意に頼らないようにしましょう。

家を借りる?買う?|長期滞在・投資目的での検討ポイント

どのビザでも不動産購入自体は可能ですが、それが永住権取得やビザ更新にどう影響するかはケースバイケースです。スペインの不動産を購入しても、そのまま滞在資格が延長されるとは限らないため、制度面の理解は必須です。最初は賃貸 → 長期滞在 → 投資判断というステップが、リスクが少なく合理的です。

賃貸 vs 購入:詳細な比較

項目賃貸購入
初期費用比較的少額:
保証金(通常1~2ヶ月分の家賃)
仲介手数料(1ヶ月分の家賃が一般的)
高額:
頭金(物件価格の20~30%が一般的)
諸費用(固定資産取得税、登記費用、弁護士費用など、物件価格の10~15%程度)
柔軟性高い:
・契約期間終了後の転居が容易
市場状況や個人の事情に応じて住まいを変更可能
低い:
物件の売却には時間と手間がかかる
市場の変動により売却価格が影響を受ける可能性
滞在目的短期~中期滞在、試験的な移住長期滞在、永住、投資、ゴールデンビザ取得など
税金家賃に税金が含まれることが一般的で、追加の税負担は少ない固定資産税印紙税都市計画税などの税負担が発生
資産形成資産形成は困難不動産資産として資産形成が可能

賃貸から始める戦略

スペインでの長期滞在不動産購入を検討する際、以下の戦略が考えられます。

1. まずは賃貸で生活をスタート

スペインに中長期で滞在するには、有効なビザの取得が前提となります(例:ノマドビザ、非営利ビザ、学生ビザなど)。
滞在初期は、まず賃貸物件で生活を始めるのが一般的です。

  • 実際の生活を通じて、エリアの雰囲気・交通の便・生活コストを体感できる
  • 将来の長期滞在や不動産購入に向けた「下見期間」としても活用可能
  • 賃貸契約書は、ビザの更新や住所登録(Empadronamiento)にも必要なため重要

2. ビザの更新・切り替えを視野に入れる

一定期間の賃貸生活を続けながら、ビザの継続や切り替え、長期滞在の制度について検討していきます。

  • 例)ノマドビザ → 滞在延長 or 他ビザへの切り替え(例:自営業ビザ、永住権)
  • 例)非営利ビザ → 滞在期間2年目以降の更新手続き
  • 家族帯同就労可否の条件など、自身のライフスタイルに合った滞在形態を見極める

特にスペインのゴールデンビザ制度は2025年に廃止予定であるため、投資や不動産購入による滞在を考えている方は、他の選択肢を早めに調べておくことが重要です。

3. 不動産購入を検討するタイミング

スペインでの生活に慣れ、滞在が長期化してきたら、不動産購入という選択肢も現実的になってきます。

  • 自分が快適に過ごせる地域・物件タイプを把握できている状態が理想
  • 将来的な永住権取得資産運用賃貸経営(投資)の視点でも判断が必要
  • 購入前には、購入手続き・諸税・外国人による不動産所有に関する法的制限など、専門家への相談を強く推奨

よくある質問(FAQ)

滞在ビザ申請に家の契約書は必要ですか?

はい。多くのビザ申請で「住居証明(empadronamientoまたは賃貸契約書)」が必要です。

家具付き物件は多いですか?

はい。都市部では「Amueblado(家具付き)」が一般的ですが、物件によってはキッチンだけという場合もあるので確認を。

英語しか話せなくても家を借りられますか?

大都市では英語対応の業者もありますが、基本はスペイン語。翻訳アプリやサポートサービスの活用を推奨します。 </details>

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