スペインの保険・医療制度ガイド|公的・私的医療の違いと加入方法– スペインの医療制度と保険加入のすべてを解説|移住者・ビザ申請者向けの実用ガイド –

スペインに移住・長期滞在するうえで欠かせないのが、医療制度と保険加入の仕組みの理解です。
この記事では、スペインの医療制度の全体像、公的医療と私的医療の違い、保険加入の方法や費用目安までをわかりやすく解説します。

目次

スペインの医療制度の基本|日本との違い

スペインでは、国民皆保険に近い仕組みが整っており、「公的医療制度(Sistema Nacional de Salud)」と「私的医療保険(Seguro privado)」の二本柱で運営されています。

制度内容
公的医療制度(SNS)全国民・居住者に原則無料で提供される医療サービス。税金で運営。
私的医療保険(Private Insurance)より柔軟で待ち時間の少ない医療サービスを受けたい方向けの民間保険。

公的医療(SNS)を受けられる人・条件は?

無料で医療を受けられるのは以下の人

  • スペイン国籍を有する人(=スペイン人)
  • 労働許可を持ち就労している外国人(社会保険に加入)
  • 配偶者・扶養家族(家族として社会保険カバーされる)
  • 特定の長期滞在ビザを持つ人(例:ノマドビザ・非営利ビザ等)

注意点

  • 公的医療を利用するには「TARJETA SANITARIA(健康保険カード)」の取得が必要
  • 短期滞在者・ビザ申請中の人・就労していない人は原則対象外

私的医療保険(Seguro médico privado)とは?

スペインでは、多くの人が公的医療と並行して「民間保険」にも加入しています。

メリット

  • 待ち時間が少ない
  • 医師・施設を自由に選べる
  • 英語対応のクリニックが多い
  • 保険加入がビザ取得条件になっていることもある

デメリット

  • 保険料が自己負担
  • 高齢・持病があると加入が制限される場合あり

ビザ申請時には基本的に私的医療保険(Seguro médico privado)への加入が必須

スペインの中長期ビザを申請する際は、公的医療制度(SNS)ではなく、私的医療保険への事前加入が原則として求められます
これは、ノマドビザ・非営利ビザ・学生ビザ・家族再会ビザなど、多くのビザで共通する条件です。

なお、就労ビザなど一部の例外はありますが、基本的には「100%補償」「免責なし(sin copago)」「1年間有効」などの条件を満たすスペイン国内認可の保険会社によるプランが必要となります。

詳しい条件やおすすめ保険会社、ビザ別の選び方については以下の記事をご覧ください。

スペインビザ申請〜滞在中の医療保険|最適な加入の流れ

時期保険の種類目的・ポイント
① ビザ申請前(日本在住)私的医療保険(Seguro médico privado)ビザ審査に必要。
“sin copago”・100%補償・1年契約の条件を満たす必要あり。
Sanitas・Asisaなど、オンライン申込みでPDF証明書を取得可能
② スペイン到着直後(滞在開始〜就労開始前)同じ私的医療保険を継続利用申請時に契約した保険を、そのまま初期の滞在期間中も使える
病気や緊急時にも対応可能なので、現地生活の安心感が高い
③ 就労開始または自営業登録後公的医療制度(SNS)に自動加入社会保険に加入することで、無料で公的医療サービスを受けられるようになる。
待ち時間はあるがコスト面では最もお得。
④ ビザ更新・延長時SNSの加入証明を使って更新可能SNSに加入済みであれば、新たに私的保険を契約する必要はない
保険料の節約につながる。

この流れが「最もコスト効率が良い」理由

  • 初期:ビザ要件を満たす必要最小限の保険で申請・入国
  • 中期:保険を使いまわして現地生活の不安をカバー
  • 長期:SNSへ切り替えることで月額負担を大幅に削減
  • 更新時:SNSの証明書で再契約不要に

ワンポイントアドバイス

  • 保険の契約期間は「渡航予定日から1年間」にしておくと、到着後も安心。
  • SNSに切り替えるまで、私的保険を途中解約しないのが安心。
  • SNS申請には、住民登録・社会保険番号取得・TIEカード受け取り後のタイミングがベスト。

この流れは、特にノマドビザ・非営利ビザ・起業家ビザなどでスペインに長期滞在予定の方におすすめです。

スペインで医療保険に加入する方法

【1】公的医療(SNS)にアクセスするには?

1. NIE(外国人識別番号)を取得
→ 健康保険カードの申請に必須です。

2. 社会保険(Seguridad Social)への登録
→ 雇用契約がある場合は雇用主が自動登録。自営業者(autónomo)は自分で加入。

3. 健康保険カード(Tarjeta Sanitaria)を申請
→ 住民登録(Empadronamiento)をした市区町村の保健センター(Centro de Salud)で申請。

【2】私的医療保険(Seguro médico privado)に加入するには?

保険会社のウェブサイトや代理店を通じて申込みが可能です。

主な保険会社(2025年時点)

会社名特徴
Sanitas英語対応あり。外国人向けプランが充実。ビザ申請対応保険も。
Asisaスペイン最大級の医療ネットワークを持つ。価格帯も広い。
Adeslas手頃なプランが多く、カスタマイズ性が高い。
DKV Seguros高品質な医療と顧客対応に定評。

医療費・保険料の目安

内容公的医療(SNS)私的医療保険(private insurance)
初診(家庭医)原則無料月額€40〜100の保険料(年齢・条件による)
専門医の診察原則無料(紹介状が必要)自由に予約可能、通訳サービス付きプランあり
救急外来・入院無料(保険カード提示)プランによりカバー率が異なる
保険加入条件社会保険加入 or ビザ条件保険会社との契約、審査あり

よくある質問(FAQ)

Q. ノマドビザや非営利ビザでも医療保険は必要?

A. はい、申請時に医療保険の加入証明が必須です
通常はビザ申請条件を満たす私的医療保険(条件:フルカバー・免責なし・1年間有効)への加入が必要です。

Q. 英語で受診できる病院はある?

A. マドリード・バルセロナ・バレンシアなどの都市部には、英語対応の私立クリニック・国際病院が多数あります。
私的保険に加入していれば予約も簡単です。

まとめ|スペインで安心して医療を受けるために

スペインは医療制度が整っており、公的制度+私的保険を組み合わせるのが一般的です。

  • 長期滞在者はNIE取得後、社会保険登録+健康カード申請を忘れずに
  • ビザ申請時は、指定条件を満たす私的保険の加入が必須
  • 私的保険に入れば、言葉の壁や待ち時間のストレスも軽減

あなたの滞在目的に合った医療サポート体制を、早めに整えておきましょう。

目次