スペインでの就労を検討する際、多くの方が最初に直面するのが「どこで、どのように仕事を探すのか」という課題です。語学力、滞在資格、職務経験など、個々の状況によって最適なアプローチは異なりますが、求人情報の入手経路を理解しておくことは、円滑な就職活動の第一歩となります。
本記事では、スペインで広く活用されている代表的な仕事の探し方3つを取り上げ、それぞれの特徴やメリット・注意点を解説します。就労ビザの取得を目指す方、ワーキングホリデーや留学中にアルバイトを探している方、または現地でのキャリア構築を視野に入れている方にとって、有益な情報となるはずです。
スペインでの仕事探しの基本
就職活動の前に確認すべきこと
スペインで働くには、まず就労が可能なビザを保有していることが前提となります。就労ビザ、デジタルノマドビザ、自営業ビザなど種類によって条件が異なり、語学力の有無も就職の選択肢に大きく影響します。英語や日本語で働ける仕事も一部ありますが、現地での職探しにはスペイン語力が求められる場面が多くなります。

現地就職とリモートワークの違い
スペインでの就労は、現地企業に雇用される形(ローカル就職)と、日本や他国の企業と契約してリモートで働く形に分かれます。前者は社会保険・税務などの義務が発生し、労働契約に基づく労働許可が必要なケースもあります。後者は、ノマドビザなどを通じて自営業としての登録が必要になることもあります。
主な仕事の探し方3選
求人サイトの活用
スペインでは、InfoJobs、Indeed、LinkedIn、glassdoorなどの求人サイトが広く利用されています。これらのプラットフォームでは、職種・業種・勤務地・契約形態・言語条件などで詳細に検索できるため、現地在住者だけでなく、日本からの情報収集にも有効です。
スペイン語での掲載が大半を占めるため、求人内容を正確に理解するためにも最低限の語学力は必要ですが、英語や日本語での募集も一部存在します。履歴書(CV)を登録することで、企業側からスカウトが届く場合もあり、積極的にプロフィールを整えておくことが重要です。
求人サイトの活用には、「掲載情報の鮮度に差がある」「応募が集中する人気案件は競争率が高い」といった課題もあります。応募の際は、できるだけ早期にエントリーし、職務経歴やスキルを端的に伝える工夫が必要です。
転職エージェントを利用する方法
日本国内またはスペイン現地で活動する転職エージェントを活用する方法もあります。Daijob、RGF、Michael Pageなどが代表的なエージェントで、特定の職種や業界に特化した非公開求人に出会える可能性があります。
エージェントを通じて応募する場合、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、ビザに関する初期相談など、包括的なサポートが受けられることが多く、初めての海外就職には心強い味方となります。
一方で、希望条件に合う求人が常にあるとは限らず、また企業とのマッチングを重視するため選考に時間がかかるケースもあります。登録は無料で行えるため、複数のエージェントに並行して相談することが推奨されます。
ネットワーク・紹介経由での仕事探し
スペインでは、知人や現地コミュニティを通じた紹介・口コミによる求人情報の取得も非常に一般的です。特に飲食・観光業、日系企業、小規模ビジネスなどでは、求人情報がインターネットに出回らず、信頼関係を重視した採用が行われるケースも少なくありません。
具体的には、Facebookグループ(例:「スペイン在住日本人の会」など)、語学学校の掲示板、現地のMeetupイベント、日本人向けの掲示板などが情報収集の起点になります。
ネットワーク経由の就職活動は、求人の信頼性が高く、面接の通過率も上がりやすい傾向がありますが、個人の行動力や積極性が鍵となります。現地に渡航する前からオンラインでつながりを築く、自己紹介を丁寧にする、コミュニティに貢献する姿勢を見せるなど、戦略的に動くことが成果につながります。
こうした「人からの紹介」は、履歴書や語学力だけでは補えない部分をカバーできる強力な手段です。特に語学力や職歴に不安がある方にとっても、有効な選択肢のひとつです。
スペインでの求人の見つけ方・応募の流れ
求人情報の探し方・検索時の注意点
求人検索では、勤務地、契約形態(正社員、パートタイム、インターンなど)、言語要件(スペイン語・英語)などを軸に条件を絞ると、効率よく希望に合った案件を見つけられます。スペイン特有の雇用契約形態にも注意が必要です。
履歴書(CV)と職務経歴書の作成
スペインや欧州では、写真付きのCVが一般的であり、簡潔で要点がまとまった構成が好まれます。スペイン語または英語で記載するのが基本で、職務経歴、学歴、語学スキル、資格を整理して記載します。Europassなどのテンプレートを使うのも一つの方法です。
応募〜面接の流れ
応募後は、メールや電話での連絡を経て、オンラインまたは対面での面接に進みます。一次面接は人事担当者、二次面接以降は現場責任者という流れが一般的です。選考には数週間かかることもあり、返信が来ない場合もあるため、複数社への並行応募が推奨されます。
実際の求人事例と経験談
スペインでの就職には、多様な背景や経路があります。以下では、実際にスペインで就職に成功した日本人のケースを3つ紹介します。語学力や経歴の違いによって、仕事の探し方やキャリアの築き方も変わってきますので、ご自身に近い事例を参考にしてみてください。
バルセロナでIT企業に就職したケース(30代男性・エンジニア)
日本でシステムエンジニアとして7年間勤務した後、「海外でのキャリアと生活を両立したい」と考えスペイン移住を決意。事前にデジタルノマドビザの条件を確認し、スペイン語は初級レベルながら、英語を共通語とする国際IT企業を中心にLinkedInで求人を検索。
応募した企業は、バルセロナに本社を持つ欧州系SaaS企業。書類通過後は、すべて英語でのオンライン面接(計3回)が行われ、過去のプロジェクト実績とGitHubの活動が評価されて内定。
採用後はリモートとオフィスのハイブリッド勤務で、スペイン語は業務では不要な環境だったが、生活面のために語学学校にも通い始めている。
ポイント:
- IT職は英語環境の企業が多く、スペイン語が不安でも就職可能な場合あり
- LinkedIn経由の応募が効果的
- GitHubやポートフォリオの提示で技術力を可視化できると有利
観光業界で働く日本人の実例(20代後半女性・元ワーキングホリデー)
大学卒業後、スペイン語を学ぶためにマドリードの語学学校に通い、ワーキングホリデービザで滞在。語学習得を進めながら、地元の旅行代理店でインターンを経験。観光シーズンに合わせてアルバイトとして雇用され、その後フルタイム契約へと移行。
業務は日本人観光客向けのプラン提案や現地案内が中心で、日本語での対応が必要とされるため、語学力より「文化理解」や対応力が重視された。その後、スペイン人スタッフとの協働でスペイン語スキルも実地で向上。
ポイント:
- 観光業では「日本人対応スキル」が強みになる
- ワーホリ中のインターンやアルバイトが正規雇用につながるケースも
- シーズン採用枠を狙うのも有効
日系企業での採用体験談(20代男性・留学→アルバイト→正社員)
バルセロナの大学に留学中、日本食レストランでホールスタッフとしてアルバイトを開始。誠実な勤務態度と接客スキルが評価され、大学卒業時にマネージャー職としての正社員登用を打診される。
就労ビザの切り替えが必要だったが、雇用主が書類を準備・スポンサー申請をサポートしてくれたため、スムーズに在留資格を変更。現在は店舗運営の一部にも関わり、スタッフのシフト管理やSNS発信も担当している。
ポイント:
- アルバイトからの正社員登用ルートは現実的に存在する
- 就労ビザは雇用主の協力が得られれば取得しやすい
- 飲食業界ではスペイン語が日常会話レベルあれば対応可能なことも
よくある質問と注意点
まとめ
この記事の要点まとめ
- スペインでの仕事探しは、求人サイト、転職エージェント、紹介・ネットワークの3つが基本
- 就職活動前にはビザ・語学力・契約形態などの基礎知識を把握しておくことが重要
- 応募書類の作成や面接準備を通じて、計画的に行動を進めることが成功の鍵
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