スペインのデジタルノマドビザ完全ガイド【2025年版】

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スペインのデジタルノマドビザ完全ガイド【2025年版】

スペインの地中海沿岸で働きながら暮らす——そんな理想を叶えてくれるのが「デジタルノマドビザ」。
本記事では、ビザの取得条件から申請手順、家族帯同のルール、費用まで、初心者にもわかりやすく解説します。

目次

デジタルノマドビザとは?

2023年1月に導入された「スペインのデジタルノマドビザ」は、海外に雇用されたリモートワーカーやフリーランスがスペインに滞在しながら働ける制度です。

申請条件

スペインのデジタルノマドビザを取得するには、いくつかの明確な要件を満たす必要があります。
この制度は、リモートワークを通じてスペインで生活したい外国人に向けたものですが、ビザを取得するには以下の条件をすべてクリアしている必要があります。

1. 雇用形態・業務内容の要件

申請者は、スペイン国外の企業やクライアントとの契約があることが前提です。

雇用者の場合:雇用先がスペイン国外の法人であること

フリーランス・自営業の場合:クライアントの80%以上が国外であること(スペイン国内クライアントの仕事は最大20%まで)

2. 学歴または実務経験

以下のいずれかを満たしている必要があります:

  • 国際的に認定された大学やビジネススクールの学位
  • または、同分野での3年以上の実務経験

💡 資格よりも「安定した職歴」が評価される傾向にあります。

3. 経済的な自立(収入証明)

スペイン政府は、申請者が自活できるだけの収入を有しているかどうかを重要視しています。

内容要件
単身申請者€2,268/月以上(2024年のスペイン最低賃金(SMI)の200%)
配偶者を帯同+€850.5/月(SMIの75%)
子どもを帯同1人につき+€283.5/月(SMIの25%)

証明方法例:

  • 給与明細
  • 銀行残高証明
  • 契約書(報酬記載あり)

4. 無犯罪証明(過去5年)

申請時には、過去5年間において重大な犯罪歴がないことを証明する必要があります。

  • 在住国の警察発行の「無犯罪証明書」
  • 6ヶ月以内に発行されたもの
  • スペイン語訳+認証が必要な場合あり

5. 健康保険の加入

スペイン滞在中に医療保障が受けられるよう、以下のいずれかに加入していることが必須です:

  • スペインの公的健康保険(Seguridad Social)
  • 民間の医療保険(すべてのリスクをカバーするもの

保険契約書と、スペイン国内で有効であることの証明が必要です。

まとめ|このビザは「信頼性と持続性」が評価される

申請者が上記の要件を満たしていることは、スペイン政府にとって
「この人は自立したデジタルノマドとして、滞在中も経済的・社会的に問題を起こさないだろう」
という信頼材料となります。

家族も帯同OK!

スペインのデジタルノマドビザでは、以下の家族を主申請者と一緒にビザ取得することが可能です。

対象となる家族メンバー

  • 配偶者またはパートナー
    法的に認められた配偶者、もしくは事実婚のパートナー(未婚であっても可)
  • 扶養中の子ども
    18歳未満の扶養中の子ども
  • 扶養している親または祖父母
    一緒に生活しており、扶養していることが証明できる親または祖父母

💡注意:親や祖父母を帯同する場合は、生活を共にしていることの証明(同居・扶養)が必要です。

家族帯同に必要な追加収入要件

主申請者本人だけでなく、帯同する家族がいる場合には一定の追加収入が必要になります。

必要な月額収入の目安(2024年時点)

帯同人数必要な追加収入(月額)備考
1人目の家族最低 €1,134スペインの最低賃金の75%に相当
2人目以降の家族(1人につき)最低 €378スペインの最低賃金の25%に相当

参考:2024年のスペイン最低賃金は €1,512/月と設定されています。

収入証明のポイント

帯同家族がいる場合、家族全員分の生活費をまかなえることの証明が求められます。以下のような書類で証明するのが一般的です:

  • 雇用契約書または業務委託契約書
  • 銀行残高証明書
  • 直近6〜12ヶ月の収入証明(給与明細、請求書など)

家族での移住を検討する方へ

スペインでの家族移住は魅力的ですが、ビザの要件を正しく理解し、余裕のある生活設計を立てることが重要です。特に収入基準は家族の人数によって変動するため、事前にしっかりと計算しておきましょう。

必要書類

スペインのデジタルノマドビザを申請するには、一定の書類を整えて提出することが必須です。
申請者本人・国際的なリモートワーカー・帯同家族ごとに必要な書類をわかりやすく分類し、注意点や提出前のチェックポイントもまとめています。

必要書類は3つのカテゴリに分かれる

デジタルノマドビザの申請には、以下の3種類の書類が求められます:

  1. 一般書類(すべての申請者に共通)
  2. リモートワーカー特有の書類(就労内容に関するもの)
  3. 帯同家族に関する書類(扶養関係の証明など)

1. 一般書類(全申請者共通)

以下の書類は、すべての申請者が提出する必要があります:

書類名内容・注意点
国家ビザ申請書スペイン大使館または領事館の指定フォーマットで作成・署名
証明写真最近撮影したパスポートサイズ、顔がはっきり写っているカラー写真(背景は明るく、メガネの反射などNG)
有効なパスポート滞在予定期間+1年以上の有効期限、過去10年以内に発行、空白ページ2つ以上
無犯罪証明書居住国での過去6ヶ月以内のもの+過去5年間の無犯罪を誓約する書面も必要
居住証明申請するスペイン領事館の管轄地域に居住していることを証明(例:英国ロンドン領事館ならロンドン在住証明)
代理人申請の場合の本人確認書類委任状、代理人のIDコピーなど
健康保険加入証明スペインの社会保険(公的医療保険)への加入を示すS1フォーム+登録証明
NIE番号(外国人識別番号)申請前に取得が必要。オンライン申請可能(申請時に未取得だと却下される可能性あり)

ポイント:すべての書類はスペイン語に翻訳された上で、公的に認証(アポスティーユまたは領事認証)されている必要があります。

2. リモートワーカー特有の追加書類

海外からスペインでリモートワークを行う申請者は、以下の追加書類も求められます。

雇用・業務に関する書類

  • 在籍証明書(雇用者の場合)
    勤務先企業からの証明書。以下の内容が明記されている必要あり:
    • 契約期間
    • スペインでのリモートワークを許可する旨
    • 給与額
  • 業務契約書(フリーランスの場合)
    クライアントとの契約内容、報酬、リモートワークの合意が記載された契約書

経済的・社会保障関連の書類

  • 収入証明
    銀行残高、給与明細、請求書など、月収 €2,268以上(2024年時点)の証明が必要
    ※スペイン最低賃金の200%以上
  • 社会保障関連書類
    出身国の社会保険制度への加入・納付証明書、またはスペインでの登録証明
  • 学歴または職歴証明書
    大学の卒業証明書または職歴・スキル証明書など、申請者の専門性を示す書類

3. 帯同家族がいる場合の必要書類

配偶者・子ども・親などを同行させる場合、以下の書類が追加で必要になります。

家族関係・扶養に関する証明書

帯同者の種類必要な書類
配偶者・パートナー結婚証明書または事実婚の法的証明
子ども(18歳未満)出生証明書など扶養関係を示すもの
成人した子ども経済的扶養状況・未婚証明書
親・祖父母(上位親族)同居・扶養状態の証明書類

注意:すべての外国語書類は、公式翻訳+合法化(アポスティーユまたは大使館認証)が必要です。

提出前にチェックすべきポイント

  • 書類の期限はすべて「最新の6ヶ月以内」が基本
  • スペイン語への公式翻訳が必要(翻訳者は公認翻訳者に限る
  • 書類が多岐に渡るため、事前にリスト化+余裕をもって準備
  • NIE番号の取得はオンライン申請可能。取得後でないとビザ申請が進められない

スムーズな申請のために

スペインのデジタルノマドビザは書類要件が非常に細かく、誤りや不足があると審査遅延や却下のリスクがあります。
ご自身での準備が不安な方は、ビザ申請サポートの活用も検討しましょう。

ビザの有効期間と更新

スペインのデジタルノマドビザは、ヨーロッパの中でも比較的長期間の滞在が可能な制度として注目されています。本記事では、デジタルノマドビザの初回許可期間から、更新の流れ、最終的な永住権の可能性までをわかりやすく解説します。

初回のビザ期間:最大1年間

デジタルノマドビザの初回許可期間は、最大1年間です。ただし、以下のいずれか短い方が適用されます。

  • 最長で 1年間
  • 提出した就労契約書・業務契約書の有効期間

例:契約が6ヶ月間の場合、ビザも6ヶ月になる可能性があります。

ビザの更新:2年ごとの延長が可能

初回ビザの期限が近づいたら、スペイン国内で更新手続きが可能です。一度の更新で2年間の延長が認められ、最大で通算5年間の滞在が可能です。

更新スケジュールの例

フェーズ滞在可能期間補足
初回取得最大1年契約期間が短ければ短縮される場合あり
1回目の更新2年条件を満たせば延長可能
2回目の更新さらに2年最大5年の合法滞在が可能に

更新時も引き続き、収入証明や保険加入、リモートワーク契約の継続証明が必要です。

永住権への道も開かれている

デジタルノマドビザで5年間の継続的な合法滞在を達成すると、スペインの**永住権(Residencia de Larga Duración)**の申請が可能になります。

  • 過去5年間の合法滞在が必要
  • 滞在中に重大な法的違反がないこと
  • 継続的な経済的安定・居住地の証明

永住権を取得すれば、スペイン国内での就労や移動もさらに自由に。長期移住の選択肢として現実的なルートです。

居住カード(TIE)は取得必須ではない

デジタルノマドビザ自体がスペイン国内の合法滞在証明となるため、必ずしも「居住カード(TIE)」の取得は必要ありません。

ただし、以下の理由でTIEを取得する人も多いです

  • 銀行口座開設や契約時の本人確認に便利
  • 滞在先でのID提示がスムーズになる

TIEを取得したい場合は、**現地の外国人事務所(Oficina de Extranjería)または警察署(Comisaría de Policía)**で手続き可能です。

まとめ:デジタルノマドに優しい滞在制度

スペインのデジタルノマドビザは、最初は1年の許可ですが、合計で5年の滞在と、その先の永住申請にもつながる柔軟な制度です。

  • 初回:最大1年
  • 更新:2年 + 2年
  • 永住権:5年後に申請可能

長期移住を見据えてスペイン移住を検討している方には、更新サポートや永住サポートの活用もおすすめです。

申請手続きの流れ【3ステップ】

STEP

必要書類と準備

  • 要件を再確認(年収・職歴・保険など)
  • NIE番号の取得(申請前に必須)
  • 書類の準備(原本+スペイン語訳+認証)
  • 申請フォームの記入

補足: NIE(外国人番号)は申請前に取得必須。取得には時間がかかることもあるため早めの対応を推奨。

STEP

大使館で申請

  • 予約の取得:スペイン大使館・領事館の申請予約ページから取得(混雑時は数週間待ちも)
  • 当日持参するもの:全書類の原本・コピー・証明写真・申請料(現金 or 指定方法)
  • 申請方法:本人出頭が基本(できない場合は委任状+代理人)
  • 支払い:申請時に手数料を支払う(€75前後)
STEP

結果通知とビザの受け取り

  • 審査期間:通常10営業日以内に審査結果(遅れる場合もあり)
  • 追加書類の提出要請がある場合も
  • 不許可の場合:書面で通知され、30日以内に再審査請求可能
  • 許可された場合:1か月以内にビザを受け取りに行く(本人 or 代理人)

ビザ申請にかかる費用

スペインのデジタルノマドビザを検討する際、申請にかかる費用を正確に把握しておくことは非常に重要です。
本記事では、ビザ申請料をはじめ、翻訳・公証・保険などの付随費用の内訳までわかりやすく解説します。


ビザ申請料:国籍によって異なる

デジタルノマドビザの申請時には、国籍に応じた申請料を支払う必要があります。

例:2024年9月時点の英国からの申請

国籍ビザ申請料(目安)
日本約 €75

正確な料金は、申請時点でのスペイン領事館の最新情報をご確認ください。


追加で発生する可能性のある費用

申請料以外にも、以下のような費用が発生する場合があります。申請前にあらかじめ予算に組み込んでおきましょう。

よくある追加費用の例

項目費用の目安内容・注意点
書類の翻訳・認証€50〜€200スペイン語翻訳+アポスティーユ・公証など
健康保険加入費€300〜€1,000/年カバー範囲・年齢・保険会社により異なる
無犯罪証明書の取得費€10〜€50国・発行機関によって異なる
NIE番号の取得費€9.84(公式手数料)申請場所により追加書類や翻訳費が発生する場合あり

翻訳はスペイン語の書類に必要です。英語以外の言語の書類は、公認翻訳者による翻訳+合法化(例:アポスティーユ)が求められます。

合計費用の目安(個人の場合)

項目費用(目安)
ビザ申請料€75
書類翻訳・認証€150〜€300
健康保険€400〜€1,000/年
その他(NIE・証明書など)€50〜€100
合計約 €675〜€1,475(個人1名の場合)

家族帯同の場合は、人数に応じて費用が加算されます。

迷ったらプロに相談を

ビザ申請には複雑な書類準備・翻訳・公証作業が伴うため、不安がある方は移住コンサルタントのサポートを受けるのが安心です。 書類不備や言語の壁を乗り越え、スムーズな申請を実現できます。

依頼するメリット

  • 最適なビザ選定と方向性のアドバイス
    収入条件やライフスタイルに合わせて、申請可能なビザを提案。
  • 書類準備の効率化
    チェックリストの提供や、書類の不備・不足を事前に防止。
  • 手続きの効率化
    申請の流れをスムーズに進められるようにアドバイス
  • 成功率の向上
    最新の制度や審査傾向を踏まえて、戦略的に申請をサポート。書類不備のリスクを回避

弁護士に依頼する場合(15-30万)の半額以下の費用で相談できることも多く、コスト面でもメリットがあります。

まとめ

  • スペインのデジタルノマドビザは、リモートワーカー・フリーランスに最適
  • 家族も一緒に暮らせる柔軟な制度
  • 書類の準備と正確な申請が成功の鍵

※申請条件や手続きは変更される可能性があります。
最新情報は必ずスペイン大使館・領事館の公式情報をご確認ください。

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