イギリス移住を検討する際、避けて通れないのが住まいの確保です。特に就労ビザやYMS(ワーキングホリデー)などの長期滞在ビザを申請する際には、現地住所の証明が求められるケースもあり、入国前から計画的な準備が必要になります。
この記事では、イギリスにおける賃貸住宅の家賃相場や物件タイプ、物件探しの方法、契約の流れと注意点をわかりやすく解説します。
さらに、ビザ申請時に必要となる住所証明(proof of address)やTenancy Agreement(賃貸契約書)の取得方法についても詳しく紹介し、海外生活の第一歩をスムーズに進めるための実践的な情報をお届けします。
イギリスの住居タイプと特徴|移住者が知っておきたい賃貸住宅の基本
イギリスでの住まい探しは、日本とは大きく異なる点が多くあります。建物の構造や間取り、家具・設備の有無、契約形態などに独自の特徴があるため、事前に基本情報を押さえておくことが重要です。
以下では、イギリスで一般的な住居タイプとその特徴をまとめました。
種類 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
Flat(フラット) | 一般的な集合住宅(日本のマンション・アパートに相当) | 家具付き(Furnished)か家具なし(Unfurnished)を選べる。セントラルヒーティングが主流で、築年数が古い物件も多い。 |
House(Terraced / Semi-detached / Detached) | 一戸建て住宅(連棟・片側接続・完全独立) | 家族向け。郊外に多く、庭付き。メンテナンスは自己管理が基本。 |
Studio | ワンルームタイプの物件 | 単身者向け。キッチン・バスルーム付きのワンルーム構造で、家賃は比較的高め。 |
HMO(House in Multiple Occupation) | キッチンやバスを共有するシェアハウス形式 | 3人以上の他人と住む場合に該当。学生・若年層向け。法的な安全基準が定められている。 |
Serviced Apartment | 家具付き・光熱費込みの滞在型住宅 | 出張者や駐在員に人気。清掃・Wi-Fi付き。短〜中期滞在に適し、家賃は高め。 |
イギリス賃貸でよく使われる用語
- Furnished / Unfurnished:家具あり/家具なし
- Council Tax:地方税(家賃とは別に毎月支払う)
- Utility Bills:光熱費(電気・ガス・水道代)
- Tenancy Agreement:賃貸契約書
- Holding Deposit / Security Deposit:予約金/敷金(1か月〜6週間分)
短期向け住居の選択肢|ビザ待機・下見・ノマドにも便利
イギリス滞在の初期段階では、柔軟な契約が可能な短期〜中期向け住居を選ぶのが安心です。以下のような選択肢があります。
種類 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
Airbnb | 家具・光熱費込みの短期滞在型物件 | 日本からも予約可能。長期割引あり。都市部では人気物件の競争率が高い。 |
サービスアパートメント | Wi-Fi・清掃サービス付きの高品質賃貸 | ロンドン中心に展開。法人契約や長期出張向け。月£1,500〜£3,000程度。 |
Short-term Let / Licence Agreement | 数週間〜数ヶ月単位の賃貸 | 通常のAST(Assured Shorthold Tenancy)ではなく柔軟契約。保証人不要な場合も。 |
Co-living(コリビング) | 個室+共有スペースのあるコミュニティ型住居 | 若者・ノマドに人気。The CollectiveやMason & Fifthなどが有名。 |
こんな人におすすめ
- 渡航後に現地で物件を見てから長期契約したい人
- ビザ取得前後の一時滞在先を探している人
- ノマドスタイルでロンドンや他都市を移動しながら暮らしたい人
利用時の注意点(イギリス版)
- Airbnb:長期滞在の場合、ホストが住所証明(Tenancy AgreementやCouncil Tax Bill)を提供できるか事前確認が必要。
- サービスアパートメント:家賃は高めで法人向け。住民登録(住所証明)が取得できない物件もあるため要確認。
- 短期賃貸(Short-term Let):通常の賃貸と異なり法的保護が弱いケースもある。契約内容をよく確認すること。
- Proof of Address(住所証明):銀行口座開設やNHS登録、ビザ申請には必須。発行可能かどうかは入居前に要確認。
このように、イギリスの住居形態は多様で、ビザステータスや生活スタイルに応じた選択が求められます。住まいは移住生活の土台となるため、目的や期間に応じて柔軟に選択しながら、安全かつスムーズに新生活をスタートさせましょう。
イギリスでの住まいの探し方|物件検索から契約までの基本ステップ
イギリスでの住まい探しは、日本と比べて情報源や契約手続きが異なるため、現地の不動産事情を理解したうえで計画的に行動することが大切です。とくに就労ビザやYMSビザの申請後すぐに入居が必要な場合、物件の事前予約や仮押さえが難しいこともあるため、渡航後の一時滞在先も含めた準備が重要となります。
以下では、日本人がイギリスで賃貸住宅を探す際に活用しやすい主な手段とそのポイントを紹介します。
1. 賃貸ポータルサイトの活用
イギリスでは、ほとんどの賃貸物件が不動産ポータルサイトを通じて掲載されており、誰でも無料で閲覧・検索が可能です。
代表的なサイト:
検索時のポイント:
- 「Furnished / Unfurnished」「Bills included」などの条件を確認
- 物件の所在地と最寄駅、Zone(ゾーン)をチェック
- 月額家賃に加え、Council Tax や光熱費(Utility Bills)が別途必要な場合が多い
2. 不動産エージェントを通じた契約
ロンドンなど都市部では、多くの物件がエージェント(letting agent)を介して運営・管理されています。ポータルサイトで見つけた物件も、問い合わせ先がエージェントであることが一般的です。
利用の流れ:
- エージェントに連絡し、内見予約
- 申込書(Application form)と必要書類の提出
- 入居審査(Reference check)を通過後、Holding Deposit(予約金)支払い
- 契約書(Tenancy Agreement)締結 → Deposit支払い → 入居
必要な書類(例):
- パスポート、ビザ
- 就労証明書または雇用契約書(就労ビザの場合)
- 銀行残高証明や給与明細
- イギリス国内の住所証明(渡航直後は一時的に代替書類が必要)
注意点:
- 日本からの遠隔契約は難しい場合が多く、現地に到着してから探すのが一般的
- 初期費用(初月家賃+Deposit)が家賃1.5〜2か月分程度かかる
- 交渉次第で家賃や条件の調整も可能
3. 一時滞在先としての短期賃貸活用
渡英直後は物件探しや手続きの都合から、1〜4週間の短期滞在先を確保しておくと安心です。
利用される選択肢:
- Airbnb:長期割引あり。光熱費込みで、入居準備不要。
- サービスアパートメント:家具・Wi-Fi付き。NHSや銀行手続き用の住所証明が出ないケースも。
- ホテル+荷物預かりサービス:予算や荷物量に応じて柔軟な対応が可能。
住所登録(Proof of Address)が必要なビザ手続き等では、「住所証明書類(Tenancy AgreementやUtility Bill)」が取得できるかを事前に確認しておきましょう。
このように、オンライン検索、エージェント活用、一時滞在の組み合わせがイギリスでの住まい探しの基本です。特にロンドンなど都市部では物件の回転が早く、内見から契約までの判断スピードが求められるため、事前に希望条件と予算を整理しておくとスムーズです。
イギリス主要都市の家賃相場(2025年最新版)
イギリスでは都市やエリアによって家賃水準に大きな差があります。特にロンドンやオックスフォード、ケンブリッジといったエリアでは家賃高騰が続いており、移住者や留学生は事前の住まい戦略が重要になります。
以下に、主要都市の1ベッドルーム(1LDK相当)/3ベッドルーム(3LDK相当)の賃貸相場(中心部・郊外)をまとめました。
都市名 | 1ベッド(中心部) | 1ベッド(郊外) | 3ベッド(中心部) | コメント |
---|---|---|---|---|
ロンドン | £1,800〜2,800 | £1,300〜1,900 | £3,200〜5,500 | イギリスで最も高額。中心部では富裕層・外資系駐在員が中心。郊外のZone3以降で比較的手頃に。 |
マンチェスター | £1,000〜1,500 | £800〜1,200 | £1,600〜2,500 | 北部の中心都市。家賃はロンドンの半分以下だが上昇傾向。若者やリモートワーカーに人気。 |
バーミンガム | £900〜1,400 | £750〜1,000 | £1,500〜2,300 | 英国第2の都市。再開発が進み、物件の新旧で差が大きい。 |
ブリストル | £1,200〜1,800 | £950〜1,300 | £2,000〜3,000 | テック・創造産業の拠点。中心部は競争が激しい。 |
エディンバラ | £1,100〜1,700 | £850〜1,200 | £1,800〜2,800 | 学生・観光都市。夏は短期物件に偏り、長期契約が難しい場合も。 |
リーズ/グラスゴー | £800〜1,100 | £650〜950 | £1,300〜2,000 | 北部やスコットランドの大都市。コスパの良さからファミリーや留学生に人気。 |
家賃に影響する要素
- 家具の有無(Furnished / Unfurnished)
- 光熱費込み(Bills Included)かどうか
- 築年数・断熱性能(ヴィクトリアン建築〜新築まで多様)
- 駅からの距離、ロンドンではZone区分
- エリアの治安や教育環境、物価水準(Council Taxバンド)
用語解説(イギリス版)
- 1ベッド(1 bedroom flat):日本の1LDK相当。リビング+寝室。
- 3ベッド(3 bedroom house / flat):ファミリーやルームシェア向け。広さは70〜100㎡程度。
- Flat / Apartment:集合住宅。マンション・アパートに近い概念。
- Terraced / Semi-detached / Detached house:テラスハウス(連棟)/片側接続/完全独立型の一戸建て。
郊外エリアの特徴
都市中心部に比べて、郊外では家賃を大幅に抑えることができます。たとえば:
- ロンドン郊外(Zone4〜6):Greenwich, Ealing, Walthamstowなど
- マンチェスター郊外:Salford, Didsbury, Stockportなど
- ブリストル郊外:Bedminster, Bishopston など
広さ・静けさを求めるファミリー層や、リモートワーク主体のノマドワーカーにも人気です。
ビザ申請時の注意点:住居契約書が必要
イギリスでも、就労ビザやYMS(ワーキングホリデー)、学生ビザなど多くの長期滞在ビザ申請時に住居証明書(Proof of Address)や契約書の提出が求められることがあります。
よく求められる書類:
- Tenancy Agreement(賃貸契約書)
- Council Tax Bill(地元自治体からの税請求書)
- Utility Bill(電気・ガス・水道などの名義付き請求書)
- 銀行の残高証明書(現住所記載付き)
ビザ申請前に確認すべきポイント
- 正式な契約書が発行される物件か(Airbnbなど短期物件は不可の場合あり)
- 契約が本人名義であること
- 契約期間がビザ要件(3か月以上など)を満たすこと
- 賃貸先が住所証明書類を発行できるかどうか(Proof of Address)
特に注意すべき点
イギリスでは、以下の手続きで「住所証明」が必要になることが多く、事前に対応可能かを確認することが重要です。
- 銀行口座開設
- NHS(国民保健サービス)登録
- NIナンバー(国民保険番号)取得
- BRP(在留許可カード)の受取
短期賃貸や友人宅では、これらの証明が出せないケースもあるため要注意です。
安心して進めるために
- 入居前に「Proof of Address」が取得可能か確認しておく
- ビザ手続きに不安がある場合は、現地のビザコンサルタントや日本語対応サービスに相談するのがおすすめです
- ロンドンやオックスフォードなど高額エリアでは、短期滞在+現地内見で長期契約の組み合わせが一般的です
イギリスで賃貸物件を探す具体的な方法|オンライン活用と現地ネットワークの併用がカギ
イギリスで賃貸物件を探すには、オンラインと現地ネットワークの併用が基本です。特にロンドンなど都市部では需要が高く、良質な物件はすぐに埋まってしまうため、スピードと情報源の信頼性が成功のカギになります。
語学力や滞在目的(短期/長期)、希望エリアによって適した探し方が異なるため、以下で代表的な方法を紹介します。
オンラインで探す:イギリス全土対応の不動産ポータル
イギリスでは、不動産専用ポータルサイトを利用するのが最も一般的です。主要都市から地方まで幅広く対応しており、条件検索やマップ検索が充実しています。
サイト名 | 特徴 | 向いている人・用途 | 備考 |
---|---|---|---|
Rightmove | イギリス最大手。物件数が圧倒的 | 初めての物件探し、比較検討したい人 | 家賃、設備、路線など細かく検索可 |
Zoopla | インターフェースが見やすく、初心者にも使いやすい | 見やすさ重視、周辺情報も確認したい人 | 類似物件の表示が便利 |
OpenRent | 家主と直接やりとりできる物件が多い | 初期費用を抑えたい、柔軟な交渉をしたい人 | エージェント不要な分、注意も必要 |
SpareRoom | シェア物件に特化 | 短期滞在、単身者、学生など | WG型やコリビング希望者に人気 |
Gumtree | 個人掲載が多くローカル色が強い | 掘り出し物を探したい人 | 詐欺物件に注意。対面確認推奨 |
検索のコツ:
- 「Bills included(光熱費込み)」「Furnished(家具付き)」「Short term let」などの条件を活用
- ロンドンではZone 1〜6のエリア区分を意識
- 郊外(Zone 3以降)であれば家賃を抑えやすい
現地で探す:地域密着型のネットワークを活用
オンラインでの検索に加えて、現地でのネットワークを活かすことで、未公開物件や柔軟な契約が可能な物件に出会えることもあります。
不動産仲介会社(Letting Agent)
- 各エリアにある不動産エージェントを訪問し、希望条件を伝える
- 仲介手数料は原則借主負担なし(2019年以降の法改正により)
- 契約書・審査・入居サポートも含めて丁寧に対応してくれる
代表的なエージェント(全国展開):
- Foxtons、Hamptons、Dexters、Savills、Knight Frank など
街中の掲示板・ローカルカフェ・大学の掲示板
- 学生街や地域密着型のカフェなどに「Room to Let(部屋貸します)」の張り紙あり
- 特に学生寮や語学学校では非公開の紹介案件も
- 手書きの情報は古いこともあるため、日付をチェック
Facebookグループ・WhatsAppコミュニティ
- 実際に現地にいる日本人・外国人がリアルタイムで情報共有
- 「London Flatshare」「Japanese in London」などのグループが有力
- 特にルームシェア・短期滞在用物件が多く見つかる
注意点:
- 支払い前に必ず物件を内見、または動画確認
- 事前連絡なしにデポジットを求める投稿は詐欺の可能性大
日本語サポートの不動産サービスを利用する
英語に不安がある場合は、日本語対応の不動産サポートを利用するのもひとつの方法です。特に駐在員や家族帯同での滞在を予定している方に人気があります。
サービス名 | 特徴 | URL |
---|---|---|
Relo Japan UK | 駐在・法人向け。学校・保険・ビザ支援まで対応 | https://www.relojapan.com/ |
JAC Living | 日本人エージェントによる住居紹介。ロンドン中心 | https://www.jacliving.co.uk/ |
Sumairu UK | 日本語可能な現地スタッフによる物件仲介 | https://sumairu.co.uk/ |
※ 日本語対応は人気が高く予約待ちになることもあるため、早めの問い合わせが推奨されます。
物件探しのコツと用語
- 現地内見が最も安心:写真ではわからない治安、日当たり、周囲の環境を確認
- 契約内容は必ず文書で確認:イギリスではAST(Assured Shorthold Tenancy)が標準形式
- 最低限の用語を理解しておくと便利
用語 | 意味 |
---|---|
Furnished / Unfurnished | 家具付き/家具なし |
Bills Included | 光熱費込み |
Deposit | 敷金(通常1か月〜6週間分) |
Tenancy Agreement | 賃貸契約書 |
Council Tax | 地方税(居住者に課される) |
実践アドバイス:最初は短期滞在から始めよう
イギリスでは、渡航前に長期物件を確保するのは難しいため、まずは1〜3ヶ月の短期家具付き物件を利用し、現地で内見・比較をしたうえで本契約するのが一般的です。
おすすめの短期契約対応サイト:
これらのサイトでは、Tenancy Agreementの発行や住所証明にも対応した物件を扱っているため、ビザ申請時の住所証明やNHS登録にも有効です。
イギリスでの住まい探しは、スピード、信頼性、柔軟性が成功のポイントです。「オンライン+ローカルネットワーク+実地確認」の三本柱をバランスよく活用することで、自分に合った物件に出会える可能性が大きく高まります。
ビザ申請時に必要な「住居証明」とは?仮住まいと正式契約の違いに注意(イギリス編)
イギリスで中長期滞在ビザを取得する際、多くの場合で住所証明(Proof of Address)の提出が求められます。これは正式な賃貸契約書(Tenancy Agreement)やCouncil Tax Billなどの書類が該当し、Airbnbの予約確認書やホテルの宿泊証明では原則認められないことがあるため、注意が必要です。
この記事では、ビザ申請をスムーズに進めるための住居戦略と、「仮住まい」と「正式住居」の違いを解説します。
どのビザで住所証明が必要?
以下のような中長期滞在ビザでは、申請時に「滞在先が確保されていること」が前提とされ、契約書類や住所証明の提出が必要です。
- Skilled Worker ビザ(就労ビザ)
- Graduate ビザ(大学卒業後)
- High Potential Individual ビザ
- 学生ビザ(Student visa)
- 配偶者・パートナービザ(Spouse / Partner visa)
- YMS(Youth Mobility Scheme/ワーキングホリデー) など
よくある誤解:Airbnb予約は原則NG
渡英直後にAirbnbやホテルで一時的に滞在することは可能ですが、ビザ申請や各種登録のタイミングでは「法的効力のある契約書」が必要とされるケースが多く、単なる予約確認メールは無効とされる可能性があります。
比較項目 | Airbnb等の予約確認書 | 賃貸契約書(Tenancy Agreement) |
---|---|---|
契約者名 | 予約者名のみ | 滞在者本人のフルネームを記載 |
契約期間 | 数日〜数週間 | 原則3か月以上 |
書類形式 | メールやPDF | 署名済みの法的契約書 |
住所証明としての有効性 | ✕ 原則不可 | 〇 多くの大使館・役所で正式に認められる |
ビザ申請と住まい確保を両立する「段階的アプローチ」
イギリス移住では、まずはビザ申請に必要な最低限の条件を満たす住まいを確保し、渡航後に本格的な住まい探しを行うのが現実的です。
ビザ申請用に短期〜中期契約の住居を確保(渡航前)
- Spotahome, HousingAnywhere, TheSqua.reなどで3ヶ月以上の家具付き賃貸物件を確保
- Tenancy Agreementが発行されるか、住所証明書類が提供されるかを事前に確認
- 一部のAirbnbでもオーナー次第で書類対応が可能だが、要事前交渉
- ポイント:家具付き・光熱費込み・住民登録(Proof of Address)可能か
渡航後に本命の住まいを探す
- 実際に地域の雰囲気、交通アクセス、治安などを体感しながら内見
- Rightmove、Zoopla、OpenRent、SpareRoomや日系不動産、Facebookグループなどで長期物件を比較検討
- 英国では審査(Reference check)や保証人の提出が求められるため、準備に時間がかかることも
生活基盤が整ったら長期契約へ移行
- 長期ビザの更新・生活の安定にあわせて1年〜2年契約の正式賃貸物件へ切り替え
- 家具購入・電気やインターネット契約・Council Tax登録などを通じて生活インフラを整備
- 安定した住環境が得られることで、心理的にも大きな安心感に繋がる
まとめ:まずは「ビザが通る家」、その後「暮らしやすい家」へ
イギリス移住における住まい確保は、以下のような2段階戦略で進めるのが実用的です。
- ビザ申請を通すための“仮住まい”(短期でもTenancy Agreementがあることが重要)
- 現地生活で探す“本命の住まい”(快適な長期契約物件)
不安がある場合は、ビザ対応実績のある不動産エージェントや日本語サポート付きサービスに相談することをおすすめします。とくにロンドンやマンチェスターなど大都市では、人気物件の競争率が高いため、早めの準備が成功への近道です。
イギリスでの賃貸契約の流れ|初めてでも安心なSTEPガイド
イギリスで賃貸物件を契約する際の一般的な流れを、STEP形式でわかりやすく解説します。特にロンドンなど人気エリアでは物件の回転が早いため、事前に流れを把握しておくことがスムーズな契約のカギになります。必要書類や注意点もあわせて紹介します。
まずはオンラインで希望条件に合う物件を探します。イギリス全土をカバーする代表的な不動産ポータルサイトは以下の通りです:
検索時は、以下のような条件でフィルターをかけると便利です:
- Furnished / Unfurnished(家具の有無)
- Bills Included(光熱費込み)
- Short-term let / Long-term let(契約期間)
都市部では不動産エージェント(Letting Agent)経由の契約が一般的で、エージェントに直接連絡して内見予約をする形式です。英語が不安な方は、日系エージェントや日本語サポートのあるサービスを利用すると安心です。
気になる物件が見つかったら、現地で内見(Viewing)を行います。写真ではわからない建物の状態、採光、騒音、近隣の雰囲気などをチェックしましょう。
内見時に確認すべきポイント:
- 家賃額(per month / per week)と支払い方法
- 契約期間(6ヶ月〜12ヶ月が一般的。自動更新ありか確認)
- 敷金(Deposit)とその保管スキーム(TDS / DPS / MyDeposits)
- Bills(光熱費、インターネット、Council Tax)が家賃に含まれているか
- ペット可否、退去通知期間、破損時の修繕負担など
正式に契約を進めるためには、Reference Check(審査)のために以下の書類を提出するのが一般的です。
- パスポート+ビザ
- 雇用証明書(または学生証明書)
- 過去3ヶ月の給与明細または銀行残高証明
- 前の貸主からの推薦状(Reference)※初渡航の場合は省略可
- 英国在住保証人(Guarantor)が求められる場合もあり
外国人やクレジット履歴がない渡航者には、家賃前払い(6ヶ月分など)を求められることもあります。
イギリスの賃貸契約書(Tenancy Agreement)は英語で作成され、Assured Shorthold Tenancy(AST)形式が主流です。
契約前に確認すべき事項:
- 契約期間・更新条件・解約通知(通常1〜2ヶ月前)
- デポジットの保護(Deposit Protection Schemeへの登録)
- 清掃・修繕の責任区分(Tenant / Landlord)
問題がなければ署名を行い、貸主と借主で1部ずつ契約書を保持します。署名後は内容変更が困難になるため、事前の確認が非常に重要です。
契約成立後、以下の費用を支払います。
- 敷金(Deposit):家賃の最大5週間分まで
- 初月家賃(通常、契約開始前に全額支払い)
- Holding Deposit(申込金):家賃の1週間分。契約成立時に家賃に充当
支払い方法は英国の銀行口座への振込が基本です。口座名義と請求者情報が一致しているか確認しましょう。
補足:家賃の支払いと記録の保管
イギリスでは家賃の支払いは月単位が基本で、毎月の銀行振込または自動引き落とし(Direct Debit)で行われます。
- 領収書は発行されないため、銀行明細(Bank Statement)や送金記録が支払い証明となります
- これらの記録は、ビザ更新・住所証明・NHS登録・税務申告などに使用するため、電子データを保存しておきましょう
現地で内見できない場合は?|ビザ申請前に日本から契約するための注意点
イギリスでのビザ申請(Skilled Worker・Graduate・YMSなど)においては、住所証明(Proof of Address)としての住居契約書(Tenancy Agreement)の提出が必要になるケースがあります。
しかし、渡英前に物件を内見できない状況では、英国の多くの貸主が「内見なし契約不可」とする傾向があり、住まい確保のハードルとなることもあります。以下の対策を取ることで、遠隔でも安心して契約・ビザ申請を進めることが可能です。
対応可能なプラットフォーム・物件タイプを選ぶ
日本からの渡航者や外国人向けに、内見なしでも遠隔契約+契約書発行が可能なサービスを活用するのが現実的です。
プラットフォーム | 特徴 | ビザ申請用の契約書発行 |
---|---|---|
Spotahome | ビデオ付き物件、遠隔契約に特化 | 〇(英語のTenancy Agreement発行) |
HousingAnywhere | 国際学生・YMSなどに人気。日本からの契約事例も多数 | 〇(PDF形式の正式契約書) |
TheSqua.re(サービスアパートメント) | 家具付き・光熱費込み・法人契約可 | 〇(契約書・住所証明可) |
一部のAirbnb物件 | オーナーとの交渉次第で対応可 | △(要相談・条件確認が必要) |
チェックポイント:
契約書(Tenancy Agreement)が発行されるか/Council Tax BillやUtility Billが出るかも事前確認を。
ビデオ内見・代理人確認の活用
多くのイギリスの貸主やエージェントは、ZoomやWhatsAppなどを使ったライブ内見(Virtual Viewing)に対応しています。
- 事前に確認したい項目をリスト化して、内見時にチェック
- 録画OKかどうかも聞いておくと、あとで家族と共有可能
- 現地在住の知人・友人、または日本語サポート付きのエージェントに代理内見を依頼するのも有効です
遠隔契約時の確認ポイント(内見できないときほど慎重に)
- 契約書(Tenancy Agreement)が署名付きの正式PDF形式であるか
- 住所証明(Proof of Address)として通用する書類が発行されるか
- Council Tax Bill
- Utility Bill(電気・ガス・水道)
- 物件が実際に住居登録(住民登録)に使える住所か
- オーナー・エージェントとのやり取りは文面で残す/重要な点は録画
契約に不安があるときは?
- 外国人対応に慣れているエージェントや法人向け不動産サービスを利用
- 日本語や英語での対応が可能な移住サポート会社に契約書チェックを依頼
- ビザ取得経験者の紹介や、X(旧Twitter)・Facebookグループで評判を確認するのもおすすめ
まとめ|遠隔契約でも「ビザに通る書類」が得られるかが最重要
イギリスのビザ申請では、住所証明として以下のような実効性のある契約書類が求められます:
- Tenancy Agreement(本人名義)
- Council Tax Bill
- Utility Bill(契約開始日・住所記載あり)
内見できなくても、対応可能なプラットフォームを選び、必要書類が発行されるかを事前確認すれば、日本からでも十分にビザ申請を進めることが可能です。
まずは「ビザに通る物件」を見つけ、渡航後に長期滞在先をじっくり探すという2段階アプローチが、イギリス移住成功の鉄則です。
注意点とトラブル防止策(イギリス編)
イギリスでの賃貸契約は、日本とは異なる契約文化・法律・商慣習のもとで行われています。特にロンドンなどでは契約スピードの早さ、審査の厳しさ、詐欺のリスクが混在しており、移住者は事前に備えておくことが不可欠です。
以下では、日本人がイギリスで賃貸契約を結ぶ際に注意すべきポイントと、その対策を解説します。
1. 契約書は英語|内容を理解せずに署名しない
イギリスの賃貸契約書(Tenancy Agreement)は、すべて英語で作成されます。不明点を確認せずに署名すると、退去条件・修繕費負担・契約更新の有無などでトラブルになる可能性があります。
対策:
- DeepLやGoogle翻訳で一通り内容を確認
- 不明点はエージェントに質問し、書面で回答を残す
- 必要に応じて、日系の不動産会社や移住サポートサービスに契約書の確認を依頼
2. 書類審査と信用情報のハードル|外国人は追加条件が多い
イギリスでは、賃貸審査(Reference check)が必須です。英国での職歴・クレジット履歴がない外国人は、家賃前払い・保証人提出・家賃保険加入などの条件を求められるケースが多くなります。
対策:
- 必要書類を準備:パスポート、ビザ、就労証明書、銀行残高証明、UK電話番号など
- 外国人向けに柔軟な対応をしてくれる物件(OpenRent, Spotahome など)を選ぶ
- 信用が不十分な場合は、6ヶ月分以上の家賃を前払いする交渉も有効
3. 詐欺物件に注意|SNS・個人取引のトラップに引っかからない
イギリスでも実在しない物件、架空のオーナー、前金詐欺などの被害が報告されています。特に格安家賃・内見不可・海外送金・個人チャット対応のみの案件には要注意です。
対策:
- 現地内見ができない場合は、必ずライブビデオか代理人を使う
- Rightmove・Zoopla・OpenRentなど信頼あるポータル経由で探す
- WhatsAppやInstagram DMなどだけで契約・支払いを求められるケースは警戒
- 支払いは必ず英国の銀行口座名義が「不動産会社または家主本人」と一致するか確認する
4. 契約条件の曖昧さ|口頭合意はトラブルのもと
イギリスでは、敷金返金・途中解約・設備の修理負担などをめぐって、曖昧な条件が後々トラブルになることがあります。
対策:
- すべての取り決めはTenancy Agreementに明記してもらう
- 契約内容に含まれていない事項は、署名付き補足書類(Addendum)を作成してもらう
- チャットでの口頭合意は証拠能力が弱いため、必ず文書化して保存する
補足:前家賃・敷金(Deposit)の扱い
イギリスでは、家賃の前払いと敷金(Security Deposit)が一般的です。敷金は最大5週間分までと法律で制限されており、必ず政府認可の保護スキーム(TDS, DPS, MyDeposits)に預託される必要があります。
- 保護スキームに登録されているか確認
- 契約書に敷金返金の条件(退去時の清掃、破損など)が明記されているかチェック
まとめ|イギリス賃貸は「スピード×慎重さ」のバランスがカギ
イギリスでの住まい探しでは、
- 契約書は必ず読み込む
- 支払いは信頼できる相手にのみ行う
- 書類審査や追加条件への備えを怠らない
という3つの原則が重要です。
不安がある場合は、日本語対応の不動産エージェントや移住サポート実績のある専門サービスを活用することで、安全かつ確実に新生活をスタートできます。特にビザ取得直後や初渡航者にとって、慎重な準備がトラブル回避の最大の武器になります。


▶︎イギリスの情報はこちらから