イギリスビザ完全ガイド|種類・申請手続き・必要書類まとめ

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イギリスへの移住や長期滞在を考える際、避けて通れないのが「ビザの取得」です。本記事では、イギリスのビザ制度の概要、主なビザの種類、申請手続きの流れ、必要書類について詳しく解説します。イギリスでの滞在をスムーズに始めるために、ぜひ参考にしてください。

目次

イギリスのビザ制度の基本

イギリスは入国目的に応じて様々なビザを提供しています。代表的なビザのカテゴリーは以下の通りです。

  • 就労ビザ(Work Visa)
  • 学生ビザ(Student Visa)
  • 投資家ビザ(Investor Visa)
  • 家族ビザ(Family Visa)
  • 永住権・市民権(Indefinite Leave to Remain・Citizenship)

イギリスのビザが必要なケースとは?

イギリスに渡航する際、ビザの要否は滞在期間渡航目的によって異なります。多くの国の国民は、観光や短期出張などの場合に限り、最大6か月間のビザなし滞在が可能ですが、それを超える場合や特定の活動を行う場合には、ビザの取得が必要となります。

ビザが不要なケース(短期滞在)

以下の条件を満たす場合、一般的にビザは不要です(「ビジタービザ免除」対象国からの渡航者)。

  • 観光、出張、親族訪問、短期留学など(最長6か月)
    • 日本を含むビザ免除国の市民は、最大6か月までビザなしでイギリスに滞在可能
    • ただし、就労・収益活動は禁止(無給のボランティア等も原則不可)

ビザが必要なケース

以下のいずれかに該当する場合は、事前に適切なビザを取得する必要があります。

  • 6か月を超える滞在
    • 長期留学、研究、帯同などを目的とする場合
  • イギリスでの就労・ビジネス活動
    • 雇用契約に基づく労働(Skilled Workerビザなど)
    • 自営業・起業(Innovator Founderビザなど)
  • 正式な留学(学生ビザ)
    • 大学・カレッジ・語学学校でのフルタイム就学
  • 家族滞在・帯同ビザ
    • 永住者・市民の配偶者・パートナー・子どもとして渡英する場合

主なビザの種類と特徴

イギリスには、滞在目的や活動内容に応じて複数のビザ制度が設けられています。以下は代表的な長期滞在向けのビザの種類です。

スキルドワーカービザ(Skilled Worker Visa)

対象者:イギリスの企業から雇用オファーを受けた人(対象職種のみ)

  • 有効期間:最大5年間(更新可)
  • 主な条件
    • スポンサーライセンスを持つ企業からのジョブオファー
    • 年収条件(例:通常£26,200以上)
  • 申請費用:£610〜£1,408(職種や期間により異なる)
  • IHS(健康保険料):年額£1,035(2025年時点)

グローバルタレントビザ(Global Talent Visa)

対象者:特定分野(研究、デジタル、芸術等)で優れた実績を持つ専門家

  • 有効期間:最長5年間(自由に更新可能)
  • 主な特徴
    • スポンサー不要で申請可能
    • 英国内での就労・起業が自由
  • 申請費用:£623(+証明書申請料£456)

イノベーターファウンダービザ(Innovator Founder visa)

対象者:革新的なビジネスアイデアをもとにイギリスで起業する人

  • 有効期間:最初の3年間(更新可)
  • 主な条件
    • 英国内の認定団体による「ビジネスアイデアの承認」が必要
    • 起業・運営に関与する計画があること
  • 申請費用:£1,036(英国外申請の場合)

スタディビザ(Student Visa)

対象者:イギリスの大学・カレッジ・語学学校に正規入学する学生

  • 有効期間:就学期間+数か月(課程により異なる)
  • 主な条件
    • CAS(入学許可)を持つ教育機関への正式入学
    • 英語力証明(IELTSなど)
    • 資金証明(学費+生活費)
  • 申請費用:£490(+IHS)

ユースモビリティスキームビザ(Youth Mobility Scheme Visa)

対象者:18〜30歳の一部国籍の若者(日本は対象国)

  • 有効期間:2年間(延長不可)
  • 主な条件
    • 抽選制(日本国籍者の場合)
    • 一定の貯蓄条件(£2,530以上)
  • 申請費用:£298(+IHS)

高度技能専門職ビザ(High Potential Individual Visa)

対象者:世界ランキング上位の大学を最近卒業した人

  • 有効期間:学位により2〜3年(更新不可)
  • 主な特徴
    • 英国内で自由に就労・就職可能
    • スポンサー不要
  • 申請費用:£822(+IHS)

補足:その他の代表的ビザ

ビザ名対象者備考
Graduate Visaイギリスの大学を卒業した留学生最長2年間の就労・滞在が可能
Start-up Visa(終了予定)初期段階の起業家向け今後はInnovator Founderへ一本化
Spouse/Partner Visa英国人・永住者と結婚/同棲している人家族帯同・定住の第一歩

イギリスビザ申請に必要な書類とは?

イギリスのビザ申請では、ビザの種類や個別の条件に応じて提出書類が異なります。ただし、多くのビザに共通する基本的な書類も存在します。ここでは共通書類と目的別の追加書類について整理します。

一般的に必要な書類(共通書類)

  • ビザ申請フォーム(オンライン申請)
    UK政府公式サイト(gov.uk)から該当ビザの申請ページへアクセスし、オンラインフォームに記入。
  • 有効なパスポート
    ・渡航終了予定日から6か月以上の有効期限
    ・空白ページが最低1ページ以上必要
  • 証明写真
    ・45mm × 35mmのカラー写真
    ・背景は白または薄いグレー
    ・過去6か月以内に撮影されたもの
  • 宿泊証明
    ・ホテル予約確認書、賃貸契約書、または滞在先からの招待状など
  • 滞在中の資金証明
    ・過去28日間の銀行残高証明(残高が最低金額を満たしていること)
    ・収入証明(給与明細、納税証明など)
  • IHS(移民医療サーチャージ)の支払い証明
    ・ビザ申請時に支払いが必要(年額£1,035など)
    ・これによりNHS(国民保健サービス)を利用可能

ビザの種類別に必要な追加書類

就労ビザ(Skilled Worker等)

  • 雇用主からのジョブオファー(CoS=スポンサー証明番号付き)
  • 雇用契約書
  • 年収条件の証明(給与額、ポジションなど)

学生ビザ(Student Visa)

  • CAS(入学許可証)を発行した教育機関からの書類
  • 英語力証明(IELTS, TOEFLなど)
  • 学費および生活費を賄える資金証明

家族ビザ(Spouse / Partner Visa)

  • 配偶者やパートナーとの関係証明(結婚証明書・共同生活の証明など)
  • スポンサーの収入証明(給与明細、納税記録)

起業ビザ(Innovator Founder Visa)

  • 承認団体による「ビジネスアイデア承認レター」
  • 英語力の証明
  • 起業に関わる資金証明と事業計画書

注意点

  • 書類は英語または英語翻訳付きで提出する必要があります。公的な翻訳者による訳文が求められる場合もあります。
  • 提出形式はオンラインアップロードまたはビザセンターでの原本持参が基本です。
  • 国や申請時期によって最新の要件が変更されている可能性があるため、必ずUKVI公式サイトで最新情報を確認してください。

イギリスビザ申請の流れ|ステップ別にわかりやすく解説

イギリスのビザ申請は、オンライン申請からバイオメトリクス登録、書類審査まで複数のステップを踏む必要があります。ここでは、日本からの申請者を想定した基本的な流れと、代表的な申請費用の目安、そしてビザ取得後の注意点をまとめています。

STEP

必要書類の準備

申請するビザの種類に応じて提出書類は異なりますが、以下は多くのケースで共通して必要とされる基本書類です。

一般的な必要書類

  • オンライン申請フォーム(GOV.UK)
  • 有効なパスポート
    滞在終了日から6か月以上の有効期限があり、空白ページが2ページ以上あること
  • 証明写真
    規定サイズ(45mm×35mm)、背景白またはグレー、最新のもの
  • 経済証明
    銀行残高証明、給与明細、もしくはスポンサーの財政支援証明など
  • 宿泊先の証明(必要に応じて)

滞在目的ごとの追加書類

ビザの種類追加書類の例
就労ビザ(Skilled Worker)雇用契約書、スポンサーシップ証明(CoS)
学生ビザ(Student Visa)CAS(入学許可証)、学費・生活費の資金証明、英語能力証明
配偶者・家族ビザ結婚証明書、出生証明書、共同生活の証明
投資・起業ビザ(Innovator Founder等)ビジネスプラン、承認レター、投資資金の証明書類

すべての書類は原則英語または公式翻訳付きの日本語文書で提出が必要です。

STEP

オンラインで申請フォームの記入・支払い

GOV.UK公式サイトにて、該当するビザの申請ページからオンライン申請フォームを入力し、申請料をクレジットカード等で支払います

  • 申請完了後、確認メール(PDF形式の確認書類)が送付されます。
  • 医療制度利用のためのIHS(Immigration Health Surcharge)の支払いもこの時点で行います。
STEP

バイオメトリクス(指紋・顔写真)の登録予約・受領

日本国内のVFS Global(ビザセンター)にて、以下の生体認証手続きを行います。

  • 指紋登録
  • 顔写真撮影
  • パスポートの原本提出(場合により)

東京・大阪などにあるVFS Globalのセンターで予約が必要です。予約は申請完了後に案内されるリンクから行います。

STEP

書類の提出と審査

必要書類を以下いずれかの方法で提出します。

  • オンラインアップロード(推奨)
  • 郵送または持参(VFS指示に従う)

ビザ申請費用の目安(2024年時点)

ビザの種類申請費用(GBP)補足
Skilled Worker Visa£625〜£1,423滞在年数・職種により変動
Global Talent Visa£623承認機関への推薦が必要
Student Visa£363IHS別途
Spouse Visa(配偶者ビザ)£1,538審査期間が長め(最大12週)
Investor / Innovator Visa£1,638投資・起業プランが必要

※上記に加えて、IHS(移民医療サーチャージ)が別途必要です(年額£1,035など)。
※費用は変更されることがあるため、必ずGOV.UK公式サイトで最新情報をご確認ください。

ビザ取得後の注意点

ビザが発給されたら、それで終わりではありません。渡英後も以下の点に注意しましょう。

  • ビザの有効期間・更新条件を把握
    長期滞在予定者は、更新時期・条件を見落とさないよう注意。
  • 滞在要件(居住実態)の維持
    更新時に「継続的にイギリスに居住している証明」が求められることがあります。
  • 変更があった場合の届け出
    住所変更・勤務先変更・婚姻関係の変更などはUKVIへの報告義務があります。

イギリスのビザ申請は一見シンプルに見えても、細かな要件や提出書類に注意が必要です。申請不備による差し戻しや拒否を防ぐためにも、余裕を持った準備と事前のチェックを徹底しましょう。

イギリス国籍を取得する方法(市民権取得ガイド)

イギリスでの長期滞在や家族関係を背景に、最終的に「イギリス国籍(British citizenship)」を取得したいと考える人も多いでしょう。ここでは代表的な取得ルートを紹介します。

1. 帰化(Naturalisation)

最も一般的な方法は、一定期間イギリスに合法的に居住した後の帰化申請です。

主な要件:

  • 永住権(ILRまたはSettled Status)を取得済み
  • 過去5年間イギリスに合法的に居住している
  • 永住権取得から1年以上経過している(配偶者ビザ経由は例外あり)
  • Life in the UK Test(英国知識テスト)に合格
  • 英語力(B1レベル以上)の証明(Speaking & Listening)
  • 重大な犯罪歴や移民法違反がないこと

帰化申請には £1,580(2025年時点)の申請料がかかります。

2. 結婚による市民権取得

イギリス国籍を持つ配偶者との結婚を通じて、条件付きで帰化までの期間が短縮されるルートです。

主な要件:

  • イギリス国籍の配偶者と3年以上婚姻関係にあること
  • その間、イギリスに居住していること
  • 永住権(ILRまたはSettled Status)を取得済み
  • Life in the UK Test・英語力証明が必要

3. 血縁による市民権(出生・家系)

以下に該当する場合、出生や親・祖父母を通じてイギリス国籍を申請できる可能性があります。

対象例:

  • イギリスで生まれたが、出生時に親の一方が永住権または国籍を保有していた
  • イギリス人の親を持つが国外で生まれた
  • イギリス人の祖父母がイギリスで出生していた(限定的なケース)

※このルートは個別の状況によって申請可否が大きく異なるため、詳細はUKVIまたは専門家への相談を推奨。

まとめ|国籍取得に向けたステップとポイント

  • イギリスに長期滞在するには、ビザの取得と永住権(ILR)取得が第一歩
  • 永住権取得後、一定期間を経て帰化申請が可能
  • 配偶者ルート・家系ルートなど複数の市民権取得手段がある
  • 英語力や英国文化に関するテスト(Life in the UK Test)への事前準備が重要
  • 申請料は高額かつ書類審査も厳格。余裕をもった準備を心がけましょう

🔎 最新の要件・手続きは gov.uk(イギリス政府公式サイト) を必ず確認しましょう!

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