海外移住ビザの完全ガイド|種類・条件・取得の流れまで解説– 海外移住を考えるなら、まずはビザの基本を押さえることが第一歩。 各国共通のルールと目的別のビザの種類、取得に必要な条件までわかりやすく解説 –

海外移住に必要なビザの種類と取得条件について解説する完全ガイドのアイキャッチ画像

海外移住を目指すうえで、最初に立ちはだかるのが「ビザの壁」です。
旅行とは違い、数ヶ月〜数年にわたって海外で生活するには、その国から合法的な滞在許可(ビザ)を得る必要があります。

このページでは、各国共通のビザの基本知識から、目的別のビザの種類、取得条件、注意点までをわかりやすく整理。
ビザ選びの基礎をしっかり押さえて、安心して移住の準備を進めましょう。

目次

ビザとは?海外で長期滞在・就労するための「許可証」

「ビザ(Visa)」とは、ある国に入国し、特定の条件で滞在・活動することを許可する書類です。

  • 国によってビザの種類・要件・期間は異なる
  • 一部の短期滞在はビザ免除でも可能(観光ビザなど)
  • 就労・留学・投資など、滞在目的によってビザの種類が分かれる

移住ビザは「半年以上の中長期滞在」を目的としたもので、取得には所得証明・滞在先・保険加入・無犯罪証明書などの提出が必要になるケースがほとんどです。

目的別|代表的な海外移住ビザの種類

海外移住に必要なビザは、滞在目的によって種類や取得条件が大きく異なります
仕事のために渡航するのか、リタイア後の長期滞在を目指すのか、あるいは学生として留学するのか――その目的によって、選ぶべきビザは変わってきます。

ここでは、代表的なビザの種類を「目的別」に整理し、それぞれの特徴やおすすめの国を一覧表で紹介します。
あなたの移住プランに合ったビザ選びの参考にしてください。

ビザの種類概要向いている人代表国の例
就労ビザ(Work Visa)現地企業と雇用契約を結び、指定された職場で働くためのビザ。多くの国で雇用主によるスポンサーが必要。外資系企業への転職を考えている人、現地採用を目指す専門職ドイツ(ブルーカード)、カナダ(LMIA就労)、オーストラリア(TSSビザ)
自営業ビザ / フリーランスビザ個人事業主やフリーランサーとして現地で活動することを認めるビザ。事業計画や収入証明が求められる。デザイナー、ライター、エンジニア、コンサルなどスペイン(Autónomoビザ)、フランス(Profession Libérale)、ポルトガル(D2ビザ)
投資家ビザ(Investor Visa)一定額以上の投資(不動産、株式、事業など)を通じて長期滞在権を取得。高額な初期資金が必要。資産運用を兼ねた移住、ゴールデンビザを狙う人ギリシャ(25万ユーロ以上の不動産)、マルタ、UAE
学生ビザ(Student Visa)語学学校や大学への通学を目的とした長期滞在ビザ。学生の間は滞在可能で、一部就労が許可される国も。留学希望者、語学習得を通じて就職を目指す人イギリス(Tier 4)、カナダ、スペイン
ワーキングホリデービザ18〜30歳限定。就労しながら最長1年間滞在可能(国による)。ビザ取得が比較的簡単。海外で働く経験を積みたい若者、短期滞在希望者オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、日本(相互協定あり)
非営利ビザ / リタイアメントビザ現地で働かず、年金・投資・貯金などで生活する方向けの長期滞在ビザ。ビザ名や要件は国により異なる。定年退職後にゆったりと海外で暮らしたい人スペイン(Non-Lucrative Visa)、ポルトガル(D7ビザ)、タイ
デジタルノマドビザリモートワーカーやオンラインビジネスを対象に、現地に住みながら国外収入で生活することを認めるビザ。IT系、クリエイター、フリーランス、会社経営者クロアチア、エストニア、スペイン、ポルトガル、ドイツ(一部条件下)

ビザ取得に必要な主な条件と書類

ビザの取得条件は国やビザの種類によって異なりますが、多くのケースで共通して求められる基本要件があります。

特に中長期滞在を前提とする「移住系ビザ(就労、自営業、非営利、ノマドなど)」では、単なる書類提出にとどまらず、あなたの「経済状況」や「生活基盤」を総合的に審査されると考えておくとよいでしょう。

一般的に求められる主な提出書類・条件

必須書類・要件内容と補足
有効なパスポート申請時点で6ヶ月以上の残存期間があることが一般的な条件です。
滞在先の証明賃貸契約書(Contrato de arrendamiento)やホテル予約確認書など。ビザの種類によっては本人名義での契約が必須となります。
十分な収入または資産証明銀行の残高証明、給与明細、確定申告書など。国やビザによっては「月○○ユーロ以上の収入があること」が条件になります。
健康保険の加入証明多くの国で民間医療保険への加入が義務化されています。ビザ申請時に「一定期間カバーされる保険契約書」が必要です。
無犯罪証明書(Certificate of No Criminal Record)日本国内で取得した「警察証明(犯罪経歴証明書)」が求められます。外務省でのアポスティーユ取得や翻訳が必要な場合も。
ビザ申請書・顔写真・申請料の支払い所定の申請フォームと証明写真(サイズ規定あり)、申請料(国によって€60〜€200程度)を提出します。
その他:婚姻証明・出生証明など(家族帯同時)配偶者や子どもと一緒に渡航する場合は、戸籍謄本や出生証明書の翻訳+認証手続きが必要になることも。

ビザの種類による“重点審査ポイント”の違い

  • 非営利ビザ(例:スペイン)
     → 就労せずに暮らせるか?=「年間〇〇ユーロの収入 or 預金」など経済条件が厳しめ。
  • デジタルノマドビザ
     → 海外収入で生活可能か?=クライアント契約書・報酬明細・ポートフォリオなどの提出が求められることも。
  • 就労ビザ
     → 雇用契約の有無・ポジションの専門性=現地雇用主の招聘状や会社登録証明などが必要。

書類準備の注意点

書類の不備や翻訳ミスによって申請が却下される例も多いため、専門家の確認・サポートを活用するのがおすすめ

  • 原本+コピーの提出を求められることが多い(翻訳が必要な場合もあり)
  • 発行日から○ヶ月以内のもの、という有効期限の指定がある書類も多い
  • 国によってはアポスティーユ(外務省の認証)が必要

基本的な提出書類・要件

  • パスポート(残存期間が十分であること)
  • 滞在先の証明(賃貸契約書、ホテル予約書など)
  • 安定した収入または預貯金の証明(銀行残高証明、収入証明書)
  • 健康保険の加入証明(民間保険や国の制度)
  • 無犯罪証明書(警察・法務局から取得)
  • ビザ申請書・顔写真・申請料

特に「非営利ビザ」や「ノマドビザ」では、就労しなくても生活できるだけの経済的安定性が問われます。

国ごとの注意点と共通ルール

各国のビザ制度には細かな違いがありますが、共通して知っておきたい「ルールの原則」がいくつか存在します。
知らずに違反してしまうと、強制退去や今後の入国拒否といった重大なペナルティに繋がることもあります。

以下に、特に重要な注意点を整理しました。

滞在目的に応じた行動が原則

ビザにはそれぞれ許可された「目的」と「範囲」が明確に定められています。
その目的以外の行動は原則として禁止
されているため注意が必要です。

例:

  • 学生ビザ:学業が主目的。アルバイトは「週〇時間以内」などの制限あり
  • 観光ビザ:就労・収入を得る行為は一切NG(ノマドワークも不可な国あり)
  • 非営利ビザ:原則就労禁止。リモート収入も不可な国もあるため要確認

観光ビザからの就労ビザ切り替えは「原則、現地で不可」の国が多い

「観光ビザで入国して、そのまま現地で仕事を見つけて滞在を延長したい」と考える人は少なくありませんが、
多くの国では観光ビザからの「就労ビザへの切り替え」は認められていません

これは単なる「延長」ではなく、ビザの目的・種類の変更にあたるため、原則として一度母国に帰国し、労働契約書などを提出して改めて就労ビザを申請し直す必要があります

よくある誤解:

  • 「現地で雇用が決まったから、そのまま滞在を延長できる」
  • 「観光目的での入国」→「就労目的での滞在」に変更するにはビザを新たに取得し直す必要がある

対応の例:

  • スペイン、フランス、ドイツ、オーストラリアなど:一度出国してからの申請が原則
  • タイや一部東南アジアでは「現地での切り替え可」の例もあり(ただし例外的)

ビザ=永住権ではない

ビザは一定期間の滞在を許可するものであり、
永住権(Residency / Permanent Visa / Green Card)とはまったく別物です。

  • 多くの国では「〇年以上の合法滞在+条件(収入、言語力など)」を満たすことで永住権に申請可能
  • 最初の数年はビザ更新が前提であり、自動的に永住できるわけではありません

複数国にまたがって滞在する場合の注意

近年、EU圏やノマドワーカーの間では「複数国を移動しながらの長期滞在」が増えています。
この場合、それぞれの国でビザの有効性・滞在可能日数・税務上の居住地をしっかり確認する必要があります。

具体的な注意点:

  • シェンゲン協定国では「180日のうち90日以内」の滞在制限(観光ビザの場合)
  • デジタルノマドビザでも国をまたぐ滞在に制限があることも
  • 滞在が長引けば課税対象(タックスレジデント)と判断される可能性あり

まとめ:よくある誤解と対策

よくある誤解実際のルール対策方法
学生ビザでフルタイム勤務してもいい多くの国で週20時間以内などの制限あり学生ビザでも就労許可条件を必ず確認
現地で仕事が見つかればビザも延長できるビザ切り替えには出国と再申請が必要な国が多い雇用契約をもとに帰国後に再申請を
観光ビザで仕事してもバレなければOK違法滞在・就労が発覚すると将来の入国にも影響リモートワークも対象外な国があるため事前確認を

よくある質問と注意点(FAQ)

ビザなしで長期滞在したらどうなる?

原則「不法滞在」となり、罰金・強制退去・再入国禁止などのペナルティを受ける可能性があります。

退職後に移住したい。働かなくてもOKなビザは?

スペインの非営利ビザ、ポルトガルのD7ビザなど「受動的収入」が条件のビザが適しています。

ノマドビザはどの国にある?

スペイン、クロアチア、エストニア、ポルトガル、コスタリカなど。主にリモートワークでの生活を想定。

結婚すれば自動的にビザが出る?

国際結婚でも「配偶者ビザ」の取得手続きは別途必要。すぐに永住権が得られるわけではありません。

まとめ|海外移住の第一歩は「ビザ選び」から

海外移住を実現するには、あなたの目的とライフスタイルに合ったビザを選ぶことが第一歩です。

  • ビザの条件は国によって大きく異なる
  • 渡航前に最新情報(大使館・移民局)を確認することが重要
  • 条件に合う国を選ぶ or 自分を条件に合わせる、どちらの発想でもOK
  • わからない場合は移住サポート会社や弁護士に相談するのも◎

国別ビザについて

ビザ取得条件や必要書類は、国によって細かく異なります。詳しくは以下の国別ガイドをご参照ください。

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