就労ビザの全知識|雇用契約型・ブルーカード・申請条件の違いと国別解説【2025年版】– 海外で働くために必要な「就労ビザ」の種類と仕組みを徹底解説。アメリカのH1B、EUブルーカード、カナダのLMIA制度などを比較し、申請条件や永住権への道筋まで詳しくまとめました。 –

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「海外で働きたいけど、どのビザを取ればいいの?」
そんな疑問に答えるため、この記事では世界主要国の「就労ビザ制度」について、雇用契約型・高度人材向け・国別の条件まで詳しく解説します。
アメリカのH1B、EUのブルーカード、カナダのLMIA就労ビザなどを比較し、年収要件や職種制限、永住への道のりまで一気に理解できる内容です。

目次

就労ビザとは?|定義と世界共通の仕組み

海外で「働く」ためには、観光ビザや学生ビザでは不十分であり、現地で報酬を得ることが認められた就労ビザ(Work Visa)が必要です。
ここでは、世界中の就労ビザに共通する基本構造や他のビザとの違いを整理します。

就労ビザの基本定義と「労働許可」の関係

就労ビザとは、特定の国で合法的に働くための滞在許可証であり、通常は以下のような構造になっています:

  • 滞在の許可(Visa / Residence Permit)
  • 労働の許可(Work Authorization / Work Permit)

この2つがセットになっているのが一般的です。

国によっては「滞在許可」と「労働許可」が別書類になる場合もあります(例:カナダやドイツ)。
また、就労ビザには以下のような特徴があります:

項目内容
対象一定期間、外国で働く外国人労働者
主な条件雇用契約・スポンサー企業の存在・就労目的の明示
利用対象外観光客、学生、扶養家族(別ビザ必要)

無許可で働くこと(就労ビザを持たずに報酬を得ること)は、多くの国で違法行為とされ、強制退去や将来の入国拒否の対象となります。

就労ビザに共通する3つの条件(雇用主、年収、職種)

就労ビザは国によって制度名や手続きが異なりますが、基本的に共通する審査項目が3つあります。

① 雇用主の存在(スポンサー企業)

  • 現地法人からの正式な雇用契約(Job Offer)が必要
  • 雇用主は労働省や移民局への登録済み企業であることが多い
  • 一部の国では「その職に該当する現地人がいないこと」を証明する手続き(例:カナダのLMIA)が必要

② 最低年収・報酬条件

  • 就労ビザは「外国人労働者の搾取を防ぐ」意味合いから、一定額以上の報酬水準が義務付けられている
  • 例:ドイツのブルーカードは年収€43,800以上(2025年時点)

③ 対象職種の限定(スキル職)

  • 一部の国では、職種ごとのリスト(Skilled Occupation List)が定められている
  • 医療、IT、建設、介護、エンジニアなど即戦力人材が優遇されやすい

「就労ビザ」と「ノマドビザ/駐在員ビザ/永住権」との違い

混同しやすい他の在留資格と、就労ビザの違いを整理しておきましょう。

種類内容就労の可否主な違い
就労ビザ現地雇用契約に基づく労働許可可能(雇用主あり)雇用主が申請をサポート、滞在期限あり
ノマドビザリモート収入で生活するための在留資格現地での雇用不可海外クライアント前提、自営型
駐在員ビザ日本本社からの派遣で働くためのビザ(例:Lビザ)可能(雇用は日本法人)現地法人との雇用契約はないことが多い
永住権(Permanent Residency)滞在・就労の制限がない恒久的在留資格制限なし更新不要、ビザより自由度が高い

「ノマドで海外に長くいたい」という人も、就労ビザとの違いを理解して選ぶことが重要です
現地法人で働くなら就労ビザ、海外クライアントで収入を得るならノマドビザが基本ルートです。

就労ビザの分類|世界的に多い3タイプ

世界各国の就労ビザ制度は大きく分けて「雇用契約型」「高度人材型」「ポイント制型」の3つに分類できます。
ここでは、それぞれの特徴と代表国を解説し、違いが一目でわかる比較表も紹介します。

① 雇用契約型(雇用主スポンサー型)

■ 特徴

現地の企業や団体から公式な雇用オファー(Job Offer)を受け、その雇用主が移民当局に対して「この人材が必要である」と申請・保証する形のビザ。

■ 代表国と制度名

  • アメリカ:H1Bビザ
  • イギリス:Skilled Worker Visa
  • シンガポール:Employment Pass
  • 韓国:E-7ビザ(特定活動)

■ 制度のポイント

  • 雇用主がスポンサーとなるため、転職や解雇によってビザ失効のリスクあり
  • 求人側に「現地労働市場で代替人材がいない」ことの証明が必要な場合もある(例:カナダLMIA)

② 高度人材型(ブルーカード型)

■ 特徴

高学歴・高収入・専門職などのハイレベル人材を対象とする制度
雇用主の存在も必要だが、一定の年収・学歴・職歴を満たすことで優遇され、永住許可への移行が比較的スムーズ。

■ 代表国と制度名

  • EU諸国:EUブルーカード制度(Blue Card EU)
  • ドイツ:Blue Card Germany
  • フランス:Passeport Talent(才能パスポート)
  • シンガポール:Tech.Pass(テック分野高度人材向け)

■ 制度のポイント

  • 年収の下限ラインが明確に設定されている(例:ドイツで€43,800〜)
  • 学歴または職歴とのバランスで審査(ポイント制に近い要素あり)
  • 家族帯同・永住化の道が開かれていることが多い

③ ポイント制・移民誘致型(カナダ・オーストラリア等)

■ 特徴

雇用主が不要または必須ではない制度で、個人のスキル・学歴・語学力・職歴などを数値化(スコアリング)し、合計ポイントで審査。
将来的な定住を前提とした「移民ルート」としての就労ビザ

■ 代表国と制度名

  • カナダ:Express Entry / FSW(連邦技能移民)
  • オーストラリア:Skilled Independent Visa(Subclass 189)
  • ニュージーランド:Skilled Migrant Category

■ 制度のポイント

  • 年齢・職歴・英語力・学歴などをスコアで評価
  • 基準点を超えれば就労可能な永住権が得られる
  • スポンサーがいなくても申請できるため、個人主導で移住できる

3タイプの就労ビザ 比較表

分類雇用主必要代表国・制度名年収条件永住への道難易度・柔軟性
① 雇用契約型必須アメリカ(H1B)、イギリス、シンガポール求められる国が多い雇用継続で可能★★★☆☆(雇用先次第)
② 高度人材型必須EUブルーカード、フランスPasseport Talent明確に設定されている比較的早い★★★★☆(学歴・年収次第)
③ ポイント制型不要(または任意)カナダExpress Entry、豪Subclass 189条件により加点初回から永住可の国も★★★★★(個人次第)

補足ポイント

  • フリーランス/自営業型のビザは、上記いずれにも当てはまらない別カテゴリとして扱われることが多い(次回以降で別途解説)
  • ポイント制型は「移民前提」のケースが多く、取得後すぐに家族を帯同できることが一般的

国別の代表的な就労ビザ制度とその違い

就労ビザ制度は国によって大きく異なりますが、共通するのは「即戦力人材の受け入れ」を目的としている点です。ここでは、海外移住先として人気のある主要5カ国の代表的な就労ビザを比較します。

アメリカ|H1Bビザの特徴と取得の難易度

■ 概要

アメリカで最も代表的な就労ビザ。大学卒以上の専門職を対象とし、雇用主のスポンサーが必要です。

■ 主な特徴

  • 年間抽選制度(Lottery Cap):年間85,000人に上限(うち2万人は修士枠)
  • STEM分野に優遇措置あり(米国大学修了者は滞在期間延長が可能)
  • 有効期間は3年+延長で最長6年

■ その他の就労ビザとの違い

ビザ対象者特徴
H1B一般的な専門職雇用主による抽選申請、学士以上
L1社内転勤者日本本社→米国支社など、内部異動用
O1特殊技能人材(芸術・科学など)実績・表彰が必要、スポンサーは必要

H1Bは抽選制かつスポンサー依存型のため、労働者にとって最も取得難易度が高いビザの1つです。

カナダ|LMIA就労ビザと永住への道

■ 概要

カナダでは、雇用主が「現地人では代替できない」ことを証明するLMIA(Labour Market Impact Assessment)を取得することで、外国人を雇用できる。

■ 主な特徴

  • LMIA取得後、外国人はワークパーミット(就労許可)を申請
  • 一定期間就労後、Express Entryなどで永住権申請が可能
  • 個人要件(語学・学歴・年齢・職歴)が高ポイントにつながる

カナダは「就労 → 永住」の流れが設計されており、労働者を“定住者”として歓迎する制度が整っています。

ドイツ・EU|ブルーカード(Blue Card EU)

■ 概要

EU共通の高度人材向けビザ。ドイツやフランスなど多くの国が導入しており、年収と学歴の条件を満たせば永住への道も開かれています。

■ 主な特徴(ドイツの場合)

  • 年収要件(2025年):約€43,800以上(IT分野等は€39,682〜でも可)
  • 学士以上の学歴が原則
  • 33ヶ月滞在(条件付きで21ヶ月)で永住権申請可能
  • 家族帯同が容易(配偶者も就労可)

■ EU加盟国共通のメリット

  • 他のEU加盟国への転居も柔軟
  • 永住権への移行制度が標準装備されている国が多い

イギリス|Skilled Worker Visa(旧Tier 2)

■ 概要

スキルを持つ外国人を受け入れる制度で、スポンサー認定された企業からの雇用オファーが必要です。

■ 主な特徴

  • 指定職種リストにあること(医療、IT、建設などが中心)
  • 年収要件:年間£26,200以上(職種や学歴により例外あり)
  • 英語力(CEFR B1以上)が必須
  • 5年滞在後に永住権(Indefinite Leave to Remain)申請可能

スポンサー企業はあらかじめ政府に登録されている必要があり、企業側にもハードルがあるため、求人は限られる傾向があります。

オーストラリア|TSSビザ(Temporary Skill Shortage)

■ 概要

不足職種に外国人労働者を呼び込むための制度。職種リストは年に数回見直されます。

■ 主な特徴

  • 2年(Short-term)または4年(Medium-term)のビザ
  • 職種リスト(MLTSSL/STSOL)に該当している必要あり
  • スポンサー企業からのオファー+年収条件あり
  • 中長期型は永住ビザ(Subclass 186)への切り替え可

主要国の就労ビザ比較表

国名ビザ名雇用主必要年収条件永住への移行難易度(主観)
🇺🇸 アメリカH1B必須(抽選制)あり(職種依存)条件付きで可(雇用継続等)★★★★★(抽選+企業依存)
🇨🇦 カナダLMIA+ワークパーミット必須職種により必要Express Entryで申請可★★★☆☆
🇩🇪 ドイツ(EU)ブルーカード必須€43,800〜最短21ヶ月で可★★☆☆☆
🇬🇧 イギリスSkilled Worker Visa必須(企業認定必要)£26,200〜5年でILR★★★★☆
🇦🇺 オーストラリアTSSビザ必須職種・期間により異なる一部で永住可★★★☆☆

就労ビザ取得に必要な条件・書類まとめ

就労ビザを申請する際には、どの国であっても「雇用契約」「本人情報」「経歴・能力証明」などを提出する必要があります。
ここでは、代表的な提出書類、国ごとの主な要件、そして申請ステップの全体像をまとめて解説します。

よくある提出書類一覧(雇用契約書、学歴証明、パスポート、CVなど)

就労ビザで求められる提出書類は国によって若干異なりますが、以下のような「共通書類+補足資料」の構成が一般的です。

書類名内容・補足
雇用契約書(Job Offer)現地雇用主からの正式なオファーレター。雇用期間、給与、職種の記載が必須
パスポートのコピー有効期間が6ヶ月以上必要。全ページ提出が求められることも
履歴書(CV)英語(または現地語)での職歴・学歴記載。形式指定がある場合も
学位証明書(Diploma)・成績証明書特に学士・修士以上が要件となる国で必要。原本+翻訳付き
職歴証明書(Reference Letter)過去の雇用主からの推薦状。仕事内容・勤続期間・評価が明記されていること
語学スコア(IELTS / TOEFL / CEFRなど)イギリス・カナダ・オーストラリアなどで要件になる。スコアは申請条件により異なる
健康診断書・無犯罪証明書長期滞在・家族帯同の場合に必要。出身国での取得+翻訳・認証付きが必要なケースも

書類は原本+翻訳+認証(アポスティーユや公証)が求められることがあるため、準備に時間がかかる点に注意しましょう。

国別に異なる年収・語学力・職歴要件の一例

各国での就労ビザ審査には、以下のような最低ライン(基準)が設定されているケースが多く、事前確認が必須です。

国・制度名年収要件(目安)語学力要件職歴要件・補足
🇩🇪 ドイツ(ブルーカード)€43,800以上(IT分野等は€39,682〜)不問(就職先により要)大卒相当、職種との関連性
🇬🇧 イギリス(Skilled Worker)£26,200以上CEFR B1以上(IELTS4.0〜)職種がリストに含まれている必要あり
🇨🇦 カナダ(LMIA)職種により異なる(最低時給あり)CLB5〜(職種により)Express Entry経由で永住も可
🇺🇸 アメリカ(H1B)市場相場に応じた給与(prevailing wage)不問(職種により必要)学士以上、職種に専門性が必要
🇦🇺 オーストラリア(TSS)AUD 70,000前後(MLTSSL対象職)IELTS 5.0以上が目安スポンサー企業と職種要件を満たすこと

語学スコアの提出要否は国によって分かれますが、永住権申請時には語学力が必須になるケースが多いため、早めの取得が推奨されます。

ビザ取得までのステップと期間

以下は、多くの国で共通する就労ビザ申請の流れです。

STEP

就労先を確保(雇用契約の締結)

海外の求人サイトや転職エージェントを通じて応募・面接。雇用契約を結ぶ。

STEP

雇用主によるビザ申請手続き(スポンサー登録)

企業側がビザスポンサーとして移民局に申請(例:アメリカH1B抽選、カナダLMIA取得など)

STEP

本人による必要書類の準備と提出

パスポート、学歴証明、職歴証明、語学スコアなどを揃える。翻訳・公証手続きも含む。

STEP

現地大使館・ビザセンターへの申請

VFS Globalや各国大使館で申請。書類審査+一部では面接あり。

STEP

審査結果の通知・ビザ取得・入国準備

審査通過後にビザ発給。フライト、住居、保険加入など入国準備を進める。

補足:ビザ審査にかかる時間(目安)

国名処理期間(通常)
🇺🇸 アメリカ(H1B)抽選+3〜6ヶ月以上
🇨🇦 カナダ(LMIA+Work Permit)1〜3ヶ月
🇩🇪 ドイツ(ブルーカード)6〜8週間前後
🇬🇧 イギリス(Skilled Worker)約3〜6週間
🇦🇺 オーストラリア(TSS)約1〜2ヶ月

就労ビザ取得の注意点とリスク

就労ビザは、現地での合法的な労働を可能にする強力な許可証ですが、同時にいくつかのリスクも伴います。
特に、「雇用主依存」「ビザ目的外の行動」「転職時の再手続き」など、申請後にも気をつけるべき落とし穴があります。


雇用主に依存するビザの不安(退職時の強制離脱)

就労ビザの多くは、特定の雇用主に紐づいて発行されているため、雇用契約が終了するとビザも無効になるケースがあります。

よくあるリスク

  • 雇用主による契約解除(解雇やリストラ)=ビザ失効 → 数週間以内の退去命令
  • 試用期間で不合格になってしまった場合でも即アウト
  • 自主退職してもビザは維持できない

代表的な国の例

国名雇用主変更後の対応
🇺🇸 アメリカ(H1B)60日間のグレース期間内に新雇用主がビザを再申請する必要あり
🇬🇧 イギリス(Skilled Worker)新スポンサー企業が登録済である必要。再申請手続きが必須
🇨🇦 カナダ(LMIA)雇用主を変えるには新たなLMIA+就労許可の再取得が必要

「会社に縛られる働き方」にならないためには、ビザ取得前に労働条件・企業体制を慎重に見極めることが重要です。

観光ビザからの切り替えが不可な国も多い

一部の人は「まず観光ビザで入国してから、現地で仕事を探して切り替えればいい」と考えがちですが、多くの国では滞在目的の切り替えを現地で行うことは禁止または制限されています。

なぜ現地切り替えがNGなのか?

  • 「就労を目的としていない入国(観光)」であることを前提に許可されているため
  • 滞在目的の変更はビザの根本的な再審査が必要

代表的な対応国

国名切り替え可否備考
🇪🇸 スペイン原則不可一度出国→日本で申請が必要
🇫🇷 フランス原則不可観光→就労への変更は例外的
🇨🇦 カナダ条件付き可留学生やワーホリ参加者は例外あり
🇹🇭 タイ可(例外的)現地でビザ切り替え可能な制度もあるが手続きは複雑

最初から目的に合ったビザを取得して渡航するのが原則です。観光ビザからの“なんとかなる”戦略はリスクが大きいため避けましょう。

転職・職種変更時の再申請リスク

就労ビザでは、「職種が限定されている」ことが多く、転職や役職変更によりビザが無効になるケースもあります。

主な制約例

  • 特定の職種・業務内容でしか就労できない(例:ITエンジニア→営業職は不可)
  • 転職=新たなビザ申請が必要(特にスポンサー企業が変わる場合)

国別の制限例

国名職種変更の対応
🇩🇪 ドイツブルーカードは職種変更に寛容だが雇用主変更時は届け出が必要
🇬🇧 イギリス「指定職種リスト」外に変更する場合、再申請の必要あり
🇺🇸 アメリカH1Bは新たな職種での申請が必要。内部異動でも再審査対象に

申請前に「将来的なキャリア変更が可能かどうか」も見越してビザを選ぶことが重要です。
特にノマド・自営ビザとの比較を検討すると、柔軟性の違いが見えてきます。

永住権や長期滞在へのステップとしての活用法

就労ビザは単なる「働くための滞在許可」にとどまらず、永住権(Permanent Residency)や市民権への道を拓くステップでもあります。
ここでは、就労ビザからの移行が可能な国と条件、家族帯同や転職の視点も含めて詳しく見ていきましょう。

就労ビザから永住ビザに移行できる国一覧

多くの国では、一定期間の就労ビザ滞在を経ることで永住権の申請が可能になります。以下はその代表例です。

国名永住権申請の条件必要年数就労ビザからの移行可否
🇨🇦 カナダExpress Entry(ポイント制+職歴)最短1年(CEC)LMIA/Work Permit経由で可
🇦🇺 オーストラリアSkilled Independent Visa(Subclass 189)など2〜4年(職種による)TSSビザ→永住切替あり
🇬🇧 イギリスIndefinite Leave to Remain(ILR)5年(就労継続)Skilled Worker経由で可能
🇩🇪 ドイツNiederlassungserlaubnis(永住許可)最短21ヶ月(ブルーカード)条件付きで可
🇺🇸 アメリカグリーンカード(主に雇用移民カテゴリー)数年+抽選制もあり△ 就労ビザ→雇用主経由で移行可だがハードル高

永住権移行の共通ポイント

  • 安定した雇用の継続
  • 語学力証明(一部)
  • 一定期間の納税・居住実績
  • 家族との合算申請が可能な国も多い(カナダ、ドイツなど)

将来的に永住を目指すなら、最初のビザ選びから「永住に有利な制度」を選ぶことがカギです。

家族帯同の条件とその後のビザ更新

就労ビザ保持者が配偶者や子どもを「帯同家族」として一緒に渡航させる」ことは、ほとんどの国で可能です。ただし条件は国によって異なります。

主な家族帯同要件(国共通)

要件内容
配偶者・子の身分証明戸籍謄本、結婚証明書、出生証明など+翻訳・認証
滞在資金証明家族分をカバーできる収入/残高証明
居住先の確保家族同居が可能な住居の証明(賃貸契約など)
健康保険帯同者もカバーされる医療保険加入が必須

家族のビザ種類と権利

国名配偶者の就労可否子どもの教育
🇨🇦 カナダ就労許可(Open Work Permit)あり公立学校無償
🇬🇧 イギリス就労可能(配偶者ビザ)子どもは無償で就学可能
🇺🇸 アメリカH4ビザ原則就労不可(例外あり)就学は可
🇩🇪 ドイツブルーカード帯同者も就労可教育制度にアクセス可能

家族帯同は、子どもの教育制度の質、就労機会、医療保障制度も含めた「生活設計」の観点から制度を比較することが重要です。

転職を見据えた制度選びのポイント

多くの就労ビザは、特定の企業・職種に紐づいているため、転職や業務内容の変更時にビザ再申請が必要です。
将来的にキャリアチェンジや独立を考えている場合は、以下の点を考慮しましょう。

転職に柔軟な制度を選ぶ基準

視点チェックポイント
雇用主の縛り転職時にビザ再申請が必要か(ドイツ・カナダは比較的寛容)
職種の限定一定職種でしか就労できないか(イギリスは職種リスト制)
ノマド/自営への移行可否就労ビザ→ノマド/起業ビザへの切り替えが可能か
永住化のしやすさビザ更新を重ねるより、永住権取得の方が自由度が高い

「今の雇用先に縛られることなく、海外に長く住み続けたい」という場合は、就労ビザ→永住権→自由就労 or ノマドビザへの移行を計画的に検討しましょう。

まとめ|自分に合った就労ビザを選ぶには

海外で働きたいと考えるとき、まず直面するのが「就労ビザの取得」という壁です。
しかし、この記事で見てきたように、ビザ制度は多様で、目的や経歴に応じた選択肢が必ずあります。

現実的に取得可能な国を選ぶことが第一歩

就労ビザは「どこでも自由に働ける万能パス」ではありません。
自分の職種、年収、語学力、年齢、家族構成などを冷静に棚卸しし、それに合ったビザを選ぶことが成功の鍵です。

たとえば:

  • ITエンジニアで高年収 → EUブルーカードやカナダのExpress Entry
  • 英語力は中級、現地採用で働きたい → オーストラリアのTSSビザ
  • 永住権も視野に入れたい → カナダ・オーストラリア・ドイツなど移行制度が明確な国

「雇用先が決まってから動く」vs「ビザ先行で準備する」戦略

就労ビザは基本的に「雇用主ありき」の制度ですが、一部の国ではビザ先行で申請し、現地で仕事を探すアプローチも可能です。

戦略特徴向いている人
雇用先が決まってから動く就労ビザの王道パターン(H1B、Skilled Workerなど)現地就職先と強いネットワークがある人
ビザ先行で移住準備ノマドビザ、ポイント制永住権、オープンワークパーミットなどフリーランス、現地で職探しをしたい人、若年層

「まずは現地に行ってから何とかする」という計画は、多くの国で制度上リスクが高いため、必ずビザとの整合性を確認しましょう。

ノマドワークでも就労ビザが必要な場合がある

「海外でノマド的に働くからビザはいらない」と誤解している人もいますが、以下のような注意が必要です:

  • 観光ビザでは報酬を得る活動は禁止されている国が多い
  • 就労ビザやノマドビザの取得が求められるケースも増加中
  • 税務上の居住者とみなされるリスク(183日ルールなど)

特にEUやアメリカなどは、労働許可の有無を厳しくチェックする傾向にあります。


次にやるべきこと

  • 自分の属性(職歴・語学・年齢・家族構成など)を整理
  • 興味のある国のビザ要件を調べてみる
  • 雇用主が必要な場合は求人をリサーチ、そうでない場合はポイント制やノマドビザも検討
  • ビザ選びに迷ったら、プロの移住コンサルタントに相談するのも◎。無料相談はLINEからお願いします。
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